《めてみみ》自主編集の使命

2019/04/05 06:24 更新


 百貨店の自主編集売り場の役割とは何だろうか。西宮阪急のメンズフロアに今春、誕生した「ジャッカブルー」の話を聞いて考えさせられた。「〝いい男〟と〝すてきパパ〟を両立する男の日常」がコンセプトで、同店流のカジュアルファッションと洗濯グッズ、掃除用具など家事用品、コスメも編集している。

 この内容で揃える売り場はおそらく、どこの百貨店にもないだろう。仮に消化仕入れのブティック展開で構築するなら巨大な面積が必要だし、カテゴリーミックスの集積も難易度は高い。自主編集でなければ成立しない売り場だ。同店には複数の婦人服自主編集売り場があり、成果を上げている。この実績から浮かび上がってきた西宮在住のパパ像があるから、構想できた。

 百貨店の自主編集は立ち上げては廃止を繰り返してきた。「販売力がない」から、正価販売率が低く、在庫も膨らんだ。結果、自主編集売り場に消極的な百貨店は多い。本来、仕入れ力と販売力は小売業の根幹のはずなのだが。

 大都市圏でブティック出店しているブランドが、地方都市や郊外店への出店は二の足を踏むことは多い。地域のインフラ、活性化の拠点としての百貨店を掲げるなら、地域ニーズに適応した売り場の構築は百貨店の使命ではないか。その地域でこそ成立する編集売り場が絶対あるはずだから。



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