今秋、開業10周年を迎えた阪急西宮ガーデンズがゲート館を新設した。阪急電鉄西宮北口駅直結の10階建てのビルで、本館に向かうゲートの位置付け。テナントは大学、子供対象の様々な学習塾、料理教室、クリニック、飲食店などで、いわゆる物販テナントは入っていない。
阪急西宮スタジアム(旧阪急西宮球場)跡地の再開発事業としてオープンした本館は、開業以来増収を続けている。「西宮北口」は13年から連続で、不動産関連の「関西住みたい街」ランキングの1位を獲得している。ゲート館はこうした「西宮の魅力を高める新たな施設」という。
買い物以外の来館価値を付加し、「街」としての魅力を高めることが商業施設全体の活性化につながるというわけだ。フードホールの開設、温浴施設の大規模改装、レストスペースやトイレの拡大や美装化、イベントやコミュニティーの場の新設などの他施設の取り組みも、同様に来館価値の向上が狙いだ。
家、学校や職場とは違う、立ち寄りたくなる「サードプレイス」としての心地良い空間をいかに構築するかが、一層重要になってきているのだろう。一見すると売り上げに貢献しない施設環境や収益性の低い機能への投資が、将来の施設価値を左右するのではないか。CS(顧客満足)の高い施設にこそ、人もテナントも集まるはず。