東京・上野が活気付いている。上野動物園や美術館などの文化施設が国内外の観光客に人気。昨年6月に上野動物園でパンダ「シャンシャン」が誕生し、加速した。
御徒町を含むJR・地下鉄の周辺全駅の乗降客数も伸びている。JR東日本によると、全乗降客数のうち、定期を利用しない客が定期利用客を上回った駅は17年度で7しかない。上野駅はその一つで、定期非利用客の比率は全体の54.2%。幅広い層が多く来街している反映だ。
小売店や商業施設の売り上げも全体として順調。昨年11月に開業したパルコヤは年間売上高計画を達成できるペースで、隣接する松坂屋は同時期に改装した成果で売り上げを伸ばしている。アトレ上野は18年3月期売上高が過去最高額となった。
一方で、「活気があるのは食や土産物を主体とした雑貨。一部を除き、衣料品などの物販は恩恵を受けていない」と地元商業関係者は指摘する。休日はかなりのにぎわいがあるアメ横も、飲食店が増えた。
アトレ上野でも食や雑貨が全館売り上げをけん引するが、「来街者が一気に増える土曜・日曜日にVMDの変化などの提案ができた衣料品店は健闘している」という。パルコヤでは来街客を接客によって顧客化した衣料品店は順調だ。自店の強みを生かしながら、地域や客層の特性を分析し、地道に工夫を重ねることがますます重要だ。