ファッション業界で今年の流行語大賞を選ぶとすると、必ずその候補に入りそうなのが「サステイナブル」(持続可能)だ。川上から川下まで、多くの業種でビジネスプランに掲げられている。
その流れは、19年春夏メンズコレクションでも見られた。ロンドンの若手「ベザニー・ウイリアムス」は、出版業界で廃棄される紙をテキスタイルに使った服を出した。英国の出版社アシェットと組んで廃棄される紙を調達し、売り上げの20%は移動図書館に寄付する。縫製は前シーズンに続き、イタリアの薬物中毒患者の更正施設や英国の刑務所内の工場で行うという徹底ぶりだ。
サステイナブルで先行する「ステラ・マッカートニー」も、春夏メンズでオーガニックコットンのシャツや再生カシミヤのニットを出した。工場で出た、ゴミにされるカシミヤを集めてニットにするという。カシミヤ製品を作る過程でどれくらいの量のカシミヤがゴミとなるのかイメージできないが、再利用するルートを確保しているのだろう。
ブランドイメージを守るための売れ残りの焼却処分が問題視される時代になった。余剰在庫の処分はファッション業界が抱える課題の一つだ。業績を伸ばしながら、余剰在庫を少なくするというパラドックスを解消しなければならない。サステイナブルを巡る難問は尽きない。