《めてみみ》“マルチ”への挑戦

2018/04/20 04:00 更新


空港での時間をもっと快適にー大阪国際空港の魅力を伝えるPR動画のフロントページ(同空港公式サイトより)

 施設の〝マルチ化〟が進んでいる。約50年ぶりに施設を大規模に改修している大阪国際空港もそうだ。今春、商業ゾーンが大きく変わった。「長年利用していますが、いつもギリギリ。これからは3時間前には来るようにしたい」。桂文枝さんが、式典でこんな趣旨のあいさつをしていた。

 出発を待つだけだった場所が、楽しめる場に変わる。鉄道のターミナル駅や高速道路のサービスエリアもそうで、人や荷物の移動拠点が着実に多機能化し、複合商業施設の面持ちへと変化している。人が集まる場には、様々な需要が潜むとの判断があるからだ。

 コンビニ併設型のフィットネスクラブの登場、商業施設でのフードホール型飲食フロアの広がりなども店舗機能のマルチ化が狙い。企業も変化している。J・フロントリテイリングが「小売りの枠を超えたマルチサービスリテーラー」を、近鉄百貨店は「共創型マルチディベロッパー」を掲げ、従来型とは違う新規事業開発に取り組む。

 人口の減少が確実に進んでいる。事業の維持・拡大のためには、客層の幅を広げることと、「一人十色」といわれる消費者の需要の深掘りが欠かせないとの思いもあるのだろう。マルチ化の全てがうまくいくとは限らないが、効率重視の経営が続いてきたことを思えば、新規事業への挑戦は前向きな動きと捉えたい。



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