《めてみみ》雑用係の未来

2018/04/02 04:00 更新


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 今年もファッションビジネス業界は新しい人材を迎え入れた。少子化で新卒者は減少しており、少ない学生を企業が奪い合う。この先も新卒者数の回復は見込めず、企業の採用意欲が大きく減退しない限り、採用難は変わらない。「これが常態と見るべき」と企業は危機感を募らせる。人を採用でき、定着させ、育てられる企業でなければ、成長することはできない。これからの企業の成長は採用と育成がカギを握る。

 全国大学選手権9連覇を達成した帝京大ラグビー部は、雑用係は上級生の役目、新入生にはやらせないという独自の組織運営で知られている。同大学の岩出雅之監督は自著で「環境が変わり、心身ともにいっぱいいっぱいの新入生に、チームのため、他人のために働けと言っても無理」と語る。

 1年生は新しい生活や練習に専念、上級生は掃除やグランド整備を率先し、下級生の面倒もみる。そこから生まれるコミュニケーションやリーダーシップが強さを支えているのだろう。

 会社では「雑用をこなす中で仕事を覚えていく」と、若手に押し付けがち。経験の少ない若手に雑用をやらせ、ベテランは仕事に専念する。効率は良いのだろうが、若手が経験を積む機会を奪っていないか。明確なプランを示して「雑用も仕事のうち」と指示できているだろうか。



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