最近の商業施設の新設や大型改装では、アパレルショップの影が薄い。後方に追いやられ、50近いテナントを集めながらアパレル専門店がゼロの施設もあり、かろうじて、食器やファブリックなどに混じって並んでいる。
アパレルに代わって大きな面積を占めつつあるのがライフスタイルショップだが、店によっては「買い場」になっていないと指摘する声もある。見るには楽しいが、店として何を売りたいのかが明確ではない。アパレルなら着た自分を想像させる提案があるのだが、使って生活がどう変わるのか、提案も明確ではない。お客の買う気を起こさせていないというわけだ。
3年間使った英国の掃除機が壊れ、家電量販店で日本のメーカーのものと見比べた。家の中も靴で過ごす国の掃除機と、玄関で靴を脱ぎ、畳の上で座って過ごす国の掃除機は、使い比べるとその違いがよくわかる。
靴で踏まれたじゅうたんのゴミをかき出すには、強い吸引力と高速で回転するブラシが適しているし、繊細な畳はするりと滑らかなヘッドがいいようだ。使う場の想定は設計思想に表れる。生活に合った使い勝手を考えて、日本のメーカーを選んだ。
ライフスタイル商材の開発や品揃えは、暮らしや使い方を想像することから始まる。そこから広がる提案に心を動かされ、買う気を起こさせる。