大手百貨店の自主開発は減速感が広がっている。衣料品などファッション領域の販売が低調で、顧客ニーズの変化に対応できていないのが要因だ。在庫を圧縮し、収益の見える化に着手してきたが、事業の整理・縮小が相次ぐ。
そごう・西武は2月末で、PB「リミテッドエディション」の販売を終了し、自主商品開発の事業を撤退した。今後は「自ら商品開発することは基本的にやらない」という。三越伊勢丹はこの1年で、拡大一辺倒だった自主開発を集約、SPA(製造小売業)型などに集中して事業を継続する。
PB開発は定番商品が中心だが、利益を出す仕組みが整っていない事例が大半だった。物作りや流通過程に自ら踏み込んだことによる成果はあった。しかし、開発、運用の両面でコスト意識が甘かった。
消化仕入れで取引先頼りだった弊害が払拭(ふっしょく)できなかった。生産から販売までのシステムが不在で、売り切る企業風土の欠如が表面化した。原価率20~30%でなければ、NBなどとの勝負にならないにもかかわらず、製造コストが積み重なり、店舗へのヒト、モノの負担が大きかった。
もっとも赤字だからやめるのであれは、新規・成長事業が育たない。継続できる生産から販売までの仕組み作りが欠かせない。商品の独自性は、百貨店にとって最重要な課題であるのに変わりない。