《めてみみ》ローカルの挑戦

2018/02/26 04:00 更新


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 「ローカル=田舎という原石は磨き方次第で価値が劇的に高まる」とは、いすみ鉄道の鳥塚亮社長。日本メンズファッション協会での講演によると、いすみ鉄道は千葉県の房総半島の14駅、26.8キロを走るローカル線。第3セクターとなった同社を立て直すため、一般公募で社長に就いた鳥塚氏が様々なアイデアを駆使して盛り上げている。

 かつてローカル線のほとんどは男性(鉄道オタク)をターゲットにしていたが、うまくいかなかった。集客力を高めるには「女性をターゲットにすべき」と女性が好む観光列車を走らせた。車体に「ムーミン」のシールを貼っただけで、大きな投資ではなかったが、喜ばれた。

 その後、男性には「昭和」にフォーカスしたブランディングが当たった。昭和40年代の電車のレプリカ導入をはじめ、駅前の三輪トラックやボンネットバスがSNSで拡散し、人気スポットとなった。さらに車内でのフォークライブにまで発展した。懐かしさと田園風景がマッチしたのだろう。

 「都会の人たちが求める田舎の価値は何もないこと」だという。その価値に気づく地元の人は少ない。観光による需要を創造するとともに、地元と共存共栄できるのが大事。ファッションを扱う地方の個店も1店だけの力には限界がある。地元の人を巻き込んだにぎわいの創出が求められる。



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