《めてみみ》語れる商品

2018/02/16 04:00 更新


「ナチュラルイノベーション」をテーマにメゾンの原点ともいえるカラーの進化を表現した「ブルネロ・クチネリ」の18~19年秋冬企画(画像はイメージです)

 「質が高いモノは最後まで売れる」。そう確信するのは、ある婦人服メーカーのトップ。糸、生地、工場まで厳選したコートやニットが、セール終盤も売れ続けている。値下げしても、NBなどの正価商品より高い。前シーズンより生産枚数を大幅に増やしたが、「99・9%だった」前シーズン並みの最終消化率を見込む。

 別のNBでは、17年春夏、同秋冬ともに「語れる商品」が売れた。動態裁断などが特徴のシルエットと素材そのものの価値を高めたパンツが、1型当たりの販売枚数としては近年にない大ヒット。トレンドや価格以外に、店頭販売スタッフが「語れる」内容のあることが、販売枚数を押し上げた。

 「語れるブランドを提供していきたい」とは輸入卸のトップ。物作りの背景やブランドの歴史など、伝えるべきモノを持つブランドの輸入販売に力を入れている。著名デザイナーが手掛けたとか、著名人のお気に入りといった「情報価値」とは違う商品そのものの価値を問う。

 ファッション商品のコモディティー化が進むと言われる。その論調に流されそうになりながらも思う。トースターや電子レンジほか低価格化が進んできた家電関連製品で、高級商品が人気なのは、なぜだろうか。商品の不満点を見いだし、「語れる価値」を追求しているからではないか。



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