《めてみみ》撤去費の高騰

2018/02/14 04:00 更新


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 「高くても300万円と思っていたが、1000万円も請求された」と嘆くのは首都圏の大型SCに出店する雑貨メーカーの担当者。店舗の移転・撤退に伴って発生する現店舗の原状回復工事費用(撤去費)のことだ。

 SCの店舗の撤去費が高騰している。大都市部のSCに12年前に出店したある店舗では撤去費が「出店時のコストの3倍に膨らんだ」という。20年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、首都圏を中心に大型開発が続き、建築工事に関わる人手不足も深刻化、人件費ほか建築コストの上昇が背景だ。撤去費を巡って、ディベロッパーとテナントとのトラブルも増えている。

 通常、テナントとディベロッパーとが出店契約を結ぶ際には撤去費を決めていない。物販テナントの場合、ディベロッパーと結ぶ定期借家契約の期間は大半が5~6年。経済情勢が変化する中で、5~6年先に発生する費用を予測できないためだ。先行きが読めない中でやむを得ないが、撤去費を事前に決めていないことが様々な問題を引き起こし、SCへの出店を躊躇(ちゅうちょ)するテナントが増加する要因の一つになっている。

 現状では明確な解決策はない。出店契約の際にテナントとディベロッパーがしっかり話し合い、予想される費用の目安を決めておけば、トラブルの防止につながるかもしれない。



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