人口10万人以下の地方都市の郊外型SCで、複数テナントが全国トップクラスの売上高を上げていると聞いた。恵まれた商圏とは言えないが、全国的に著名なテナントが揃う。粘り強く、段階的に地域に求められる業種・業態を導入してきた結果だ。
抜きん出る売り上げはファッション、生活雑貨、飲食の各部門にある。要因の一つは、都心部と違って競合するテナントの少なさ。同じようなテイストや価格帯、対象客層のブランド・ショップが多いほど来店客の購買先は分散してしまう。選択肢が少なければ、〝浮気〟も少なく、幅広い客層が見込める。
前年割れのテナントもあるが、他施設や全国平均の業績と比較すると、落ち込み幅は小さいとも。地域に欠落する業種・業態の導入を第一にテナントリーシングに取り組み、需給バランスの良い構成になったのだろう。
一般に、テナントの多くは、ブランディングの観点もあり、都心部や主要駅前にある有力SCへの出店を要望しがちだ。集客力のあるSCは、高効率の売上高が見込めるとの判断もあるだろうが、競合相手は多い上に家賃は高い。売り上げが計画を下回れば短期間での退店もありうる。高効率は見込めないかもしれないが、中・長期的な安定収益の確保という点でみれば、ローカルなSCへの出店という選択肢もあるのではないか。