《めてみみ》採用難がつきつける課題

2018/01/15 04:00 更新


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 ユニーは今年、25年ぶりに本社を名古屋に戻す。

 同社が名古屋を離れたのは93年。経営の立て直しを託され、子会社社長から抜擢(ばってき)された家田美智雄社長(当時)は徹底的なコスト削減を推し進めた。その象徴が本社だった。「都会にいれば付き合いも派手になり、余計な見栄(みえ)も張りたくなるから」と、不便な場所への通勤を嫌がる社員を説き伏せ、名古屋駅前の一等地から、自前の物流センターのある稲沢市郊外への移転を断行した。

 そのユニーに再び移転を迫ったのは、「都心に本社がないと人が集まらない」との危機感だ。コストを考えるなら郊外がいいが、人が採れなければ企業は成り立たない。多くの地方の有力企業もまた、同じ課題を抱え、岐路に立つ。

 採用難が企業の形を変え始めた。SCに出店する専門店では店舗面積の縮小の気配が感じられる。広い売り場を運営するのに必要な人材が確保できない。人が足りていない売り場では十分なサービスも接客も提供できないからだ。コンパクトな店の方がスタッフに目が届きやすく、指導しやすい面もある。かつての好況期には、小さな店を2店出すより、2倍の店を1店出した方が人手が少なくて済むと、こぞって店舗の大型化に走った。出せば売れる時代から、出しても売れない時代となり、売り場は様変わりした。採用難が拍車をかける。



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