《めてみみ》自己満足?

2017/10/18 04:00 更新


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 「MDの差別化が本当にお客のためになるのかどうか」と首都圏の駅ビルのリーシング担当者。秋冬から大型改装を開始、新店を数多く導入するが、「近隣他施設との違いはあまり意識しなかった」という。

 この駅ビルの近くには大型SCがある。客層はやや異なるが、大型ファッション・雑貨店を中心に両施設に入るテナントもあり、MDで重複する部分も少なくない。今後導入する新店も同じテナントの店舗が多い。全国の商業施設を知る業界関係者からすれば、「新鮮味に欠ける」テナント構成だ。

 しかし、「MDの差別化を意識し過ぎると、ディベロッパーの自己満足に終わる。大切なのはお客のニーズにしっかり応えること」と担当者は強調する。この駅ビルは改装にあたり、施設に日々寄せられた客からの要望をMDに反映させた。客の購買動向の実態調査も行った結果、「近隣SCとの買い回りが同じ店舗も含めて予想以上に多い。お客はその時の購買動機によって、施設を使い分けている」ことがわかった。

 競合が激化し、MDの同質化が課題として指摘されるなかで、〝業界目線〟では商業施設に新業態やエリア初出店店舗の導入を要求しがちだ。もちろん地域によってはそうした要素は重要で、成果を上げる施設も多い。大切なのは対象客を明確にし、そのニーズを満たすことだ。



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