「カード会員開拓や外商客など、40代を若いと称していたが、その考え方を改める。やはりアラサー以下が若い人」。大丸松坂屋百貨店の好本達也社長の発言が興味深い。百貨店業界でいう「若い層」は確かに世間とは異なる。
中心顧客層の高齢化に歯止めがかからない状況下、百貨店が次世代顧客層と位置づけるのは30~40代、もしくは40~50代だ。化粧品やラグジュアリーブランドにとっての若い層はミレニアル世代であり、百貨店だけが違うことが「大きな問題」との見方だ。
カテゴリーキラーやSCの台頭で、百貨店は対象とする客層や分野を狭めてきた。富裕層や上位中間層を顧客とする業態価値を持つ一方で、新規客層の獲得がなかなか進まない。20代女性の獲得を狙い、婦人服で〝ヤング特区〟の構築にも挑戦してきたが、成果を上げているとは言い難い。
もっとも、化粧品は若い層が利用している。同社の化粧品の国内客の売上高構成比は「20~30代が半分」。バレンタインやハロウィーンなど若い層に支持されるイベントもある。対象客層の関心事を深掘りし、今後、商品やサービス、販促企画などを増やす意向だ。
「20~30代に目を向けてもらうことが、今の顧客にも新鮮さを提供することになる」と好本社長。世代を問わず新規客層が集まる店は、既存顧客の支持も得られるはずだ。