《めてみみ》利益は後から

2017/06/29 04:00 更新


 収益性が良いことと、地域での存在意義を高めることの、どちらを第一義に追求すべきか。地方都市にある大型小売業の経営幹部と、そんな話になった。もうかっている店ではない。しかし、収益性を高める〝構造改革〟が最優先課題なのだろうかと問いかける。

 同店は、今秋も改装を計画している。方向性を聞くと、運営に手間とコストがかかりそうで、高い収益性が見込める改装には思えない。目的は、地域顧客の支持を高める魅力ある店の実現。ブランドやショップの誘致だけでは、立ち行かないとの判断だ。もっとも、「その次の問題」として収益性の確保も考えている。

 「店舗数を拡大していく。そんな企業は少なくなりました」とディベロッパーからよく聞く。ECの広がりや衣料品消費の低調もあって、ブランド、ショップ側の出店意欲は弱い。新ブランドや新業態開発の動きもあまり見られない。ディベロッパーからすれば「導入したい店」が少ないのだが、逆からみれば「どうしても」出店したい館も少ないわけだ。

 売り上げ規模が指標だった時代、効率的な利益確保が重視された時代を経て、今、閉塞(へいそく)感が漂っている。この状況を打破するには、存在意義を高めるための改装や開発に第一義的に取り組むべきではないか。利益は後からついてくるというのは幻想なのか。



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