「4~5年先の話を作っている」。百貨店・美術画廊での大型催しの出展交渉は、ずいぶん先を予約することが一般的という。作品の制作期間、他百貨店や美術館などでの展示会や販売会の予定もあるから、そうなるのだろう。国宝級の作家ともなれば、新規に出展を予約することはかなり難しい。
「10年間アプローチし続けている作家が何人もいる」と、地方都市の百貨店の経営幹部。いつ開催できるか分からないが、交渉しない限り実現しない。美術画廊だけの話ではない。「3年以上取引をお願いし続けているブランドは少なくとも20以上はあるでしょう」とも。
地方百貨店の商品調達難は厳しさを増している。以前は「欠品が多い。売れ筋商品が入らない」といった嘆きが中心だった。昨今はブランド自体の退店が相次ぎ、代替ブランドの新規導入もままならない。
あるジュエリーブランドは「3年越し」。今秋に入る予定のブランドは交渉開始から「4~5年になる」と先の百貨店。2~3年後の出店がほぼ決定したところもある。いずれも地域や百貨店として欠落している業種・業態だ。思い通りのスケジュールではないものの、要望していたブランド導入が徐々に実現している。中・長期的な展望を持って継続的に交渉することが、未来を切り開くために不可欠なことだと感じた。