メルカリは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の山本晶准教授監修のもと、全国のフリマアプリ利用者を対象に、消費行動の変化に関する実態・意識調査を実施した。それによると、フリマアプリによる周辺サービス業界への経済効果は年間最大で約752億円と推定され、特に「リペア」(修理)に関する消費が拡大していることがわかった。調査は7月6、7日にインターネットで実施、全国の20~59歳の男女1032人から回答を得た。
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周辺効果は752億円
フリマアプリの利用によって「どんな店やサービスの利用金額が増えたのか」の質問では、1人当たりの平均年間利用金額が4413円増加した。なかでも金額の変化が最も大きいのはクリーニングの683円で、続いて洋服のお直し539円、ハンドメイドやDIY(日曜大工)資材購入目的が多いホームセンター533円、スマートフォンなどの家電修理520円、靴・かばん・時計の修理が432円増加した。
同社はフリマアプリの利用者数を1814万人と想定しており、4413円×1814万人で約752億円の経済効果があると算出した。
また、「修理が必要だがまだ使える物を、修理して出品したいと思うか」の設問には、20代の51.9%、30代の43.4%、40台の39.1%が「そう思う」と回答。若年層になるほどリペア意識が高まっている傾向がみられた。理由としては修理して出品した方が「高く売れる」「買った人が喜ぶ」「早く売れる」ことが挙げられた。
市場の仕組みが変える
こうした実態・意識調査の結果を踏まえて、慶應大の山本准教授のほか、メルカリの小泉文明取締役社長兼COO(最高執行責任者)、リペアサービス「ミスターミニット」を運営するミニット・アジア・パシフィックの迫俊亮社長CEO(最高経営責任者)、シンクタンクのカルチャースタディーズ研究所の社会デザイン研究者、三浦展氏がパネルディスカッションを行った。
迫氏は「スマートフォンでメルカリに出品されている商品の画像を表示して、いくらで修理できるかといった問い合わせが増えている。賢い消費者は少し汚れたものや傷があるものでも安く購入して、修理して使っている」と指摘。時計修理サービスの売り上げは直近で約1.5倍に増えるなど、サービス需要が高まっていることを指摘した。
小泉氏は「これまでリペアに対する意識はメルカリのヘビーユーザーが強く持っていたが、今は目に見える形で浸透している。出品者と購入者が相互評価しあう仕組みもリペア意欲を高めている」と語った。
また、メルカリが社会や消費に与える影響について、「二次流通が盛り上がることで、一次流通の商品価格は上げられる。無駄なものが生産されないサステイナブル(持続可能)な社会を目指したい。高い価格でも納得してもらえるようなストーリーや背景のあるブランドはどんどん売りやすくなり、価格勝負しかできないブランドは選別されていく」との考えを示した。