1837年9月8日は丸善の創業者、早矢仕有的(はやし・ゆうてき)の生まれた日です。もちろん江戸時代。今の岐阜県山県市に生まれています。早矢仕有的は本名で、先祖に弓の名人がいて、殿様から頂いた姓名。「矢を仕るに早し」の意味とか。
医術を学ぶために江戸へ。この時の費用いっさいを負担したのが庄屋の高折善六。後に丸屋善六を名乗ったのも、恩返しの気持ちからであったとも言われています。丸屋の名はそもそも福澤諭吉が与えたもので地球の意味。江戸に出て、有的は諭吉の存在を知ってすぐに弟子入りし、「『洋学』を学ぶためには『洋服』でなくては」と言われて以来、洋服で通したという。
東京の日本橋に移って以来の丸善は、当時のエリートに愛された。丸善に行って洋書を買う。洋品を買うのはとびきりハイカラなことだったのです。そんなわけで丸善では明治の頃から「バーバリー」を扱っていた。いや、英国にバーバリーのあることを日本に知らせた最初は、丸善だったのです。バーバリーを買って、やがて修理をするにも丸善経由で英国に送ったりすることもあったそうです。(服飾評論家・出石尚三)