テキスタイルデザイナーの押鐘まどかさんは、繊維産地の素材を使った製品「テキスタイルの箱舟」で、新作生地を加えたコレクションを発表した。インテリア向けの生地売りのほか、ストールなどコレクションを使った雑貨を拡販する。
新作は、ウールのドビー綾織りに縮絨(しゅくじゅう)加工を組み合わせて、シマウマのような縞(しま)模様を表現した。たてがみは、テキスタイルアクセサリー用のフリンジとして和紙を使って仕上げた。
テキスタイルの箱舟は、縮小が続く国内産地の物作りを、旧約聖書に登場する箱舟の物語のように失われゆく野生動物に例えて名付けた。動物から着想した素材感や意匠を、各地の技術を掛け合わせた独自の仕上がりで表現し発信している。
17年に立ち上げ、桐生の織物技術や鶴岡の風合い加工、八王子のニードルパンチ、京都の手捺染などを取り入れてきた。トラの縞をイメージしたウール×紙×ラミーのカットジャカードには海外からの引き合いもある。
テキスタイルコレクションは、新作を加え6品番各2配色。生地は110~140センチ幅で、小売価格は1メートルあたり1万~1万5000円。壁装やカーテン、クッション、ランプシェード、ベッド回り雑貨向けに販売する。雑貨はストール(1万5000~3万円)やクラッチバッグ(1万円)、和紙の扇子(袋付き、9500円)、クッションカバー(1万円)などを揃えた。ストールは百貨店やセレクトショップで実績があるほか、一部はネットでも扱われている。
押鐘さんは「自分のためだけでなく産地のためにもなるよう取り組む」として、異業種とのタイアップも視野に入れ、開発と発信を強める。