再開発などで競合増す鹿児島市 9月から復調、イベントも再開

2020/12/14 06:28 更新


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 JR鹿児島中央駅前や商店街が並ぶ天文館地区で再開発が進む鹿児島市。にぎわいの創出などで街の活性化が進む一方で、郊外を含めて競合も激化している。新型コロナウイルス感染症で、売り上げや集客、再開発などに影響があったが、9月からようやく復調傾向が見られる。各施設が客やスタッフへの安全・安心を徹底しながら、地域に密着したイベントの再開などで街の活気を取り戻しつつあり、笑顔や楽しい雰囲気作りに注力している。

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 中心市街地の天文館地区のファッションビル・タカプラ跡地を含む「千日町1・4番街区」再開発は敷地面積約6000平方メートルで、延べ床面積約3万6500平方メートルの地上15階建ての建設が進んでいる。1~4階が商業(70~80店)、4、5階の図書館、7階からのホテルなどで構成し、地域の活性化が期待されている。競争激化に「昔からの商業の地域。競合より、周辺と一体となってにぎわいを作りだしていきたい」(井上謙二再開発組合事務局長)という。ショップ構成は「コロナ禍でテナント側の状況や環境が変化している」と、コロナ禍の影響を受けながらも、22年春の開業を目指している。

22年春開業を目指して進む「千日町1・4番街区」再開発

人通り増で安堵の声

 中心街は6月から復調したが、7月の天文館での2度のクラスター発生で再び落ち込んだ。9月から徐々に回復傾向が見られ、トラベルやイートのGoToキャンペーンが始まるなどで、「街中に人通りが増え、県外の観光客や学生の姿も見られるようになった」と安堵(あんど)の声も多く聞かれた。

 JR鹿児島中央駅の駅ビル・アミュプラザ鹿児島は昨年の開業15周年を機に、19年から2年半をかけて段階的な大規模改装を行っている。改装は累計90~100店を計画、19年は41店、20年は秋までに22店を実施した。20年は「プラステ」「スーツセレクト」、コスメや飲食、アクセサリーなど、周辺の環境や変化するニーズに合わせた施設の魅力アップを実施。改装区画の売上高は前年度比20%増台と好調で、客数も2ケタ増となっている。

 しかし、全館の上期(4~9月)売上高は緊急事態宣言を受けて4月18日~5月14日までの休館や新幹線の減便などが響き、前年同期比58.7%と厳しかった。今秋の改装では予定していた一部を21年秋への延期、開業当時からの飲食が撤退するなど、「想定外の出来事で、現段階では21年春の改装計画も不透明」な状況だ。

 その中で、出店意欲のあるテナント誘致へのゾーニングの見直しや、一部補助を行った飲食全店へのアクリルボード設置など、徹底した安心・安全への取り組みで「元気になってもらい、笑顔が見れる」ように注力している。10月からは売り上げが80%台まで復調し、特に週末は20%増となる日も見られた。

再開発が進むJR鹿児島中央駅前。存在感を発揮するアミュプラザ鹿児島

客とのつながり継続

 天文館地区に位置するマルヤガーデンズは4月に開業10周年を迎えたが、休館などで大々的な販促ができなかった。地域密着の施設で、「お客様とのつながりを切らさないようにする」ため、インスタグラムを活用して、外壁緑化の成長やマルヤガーデンズあるある、館内の様子などを毎日発信し、「〝いいね〟が普段の3倍近い反応があった」という。

 売り上げは6月に4.4%増と回復したが、7月は23.6%減、8月は11.4%減と落ち込んだ。9月は約2000平方メートルの無印良品が新規オープンし、若年層が増えるなど客層が広がり、14%増と回復。10月も20%台の増加となった。8月からは7階で「マルヤキッチンジャック」を開催。キッチンカーなど常設店舗がない店やイベントがなくなった飲食店が2週間サイクルで出店した。「人気のある店が多く、人が集まる場とチャレンジできる場を創出。地域に貢献したい」と、力を入れている。

客が待ちわびたマルヤガーデンズの「宙ガーデンズ」イベント

地域密着対応強める

 主力のファミリー層に向けて大規模改装を行ったイオンモール鹿児島は、コロナ禍で「特に高齢者や狙ったファミリー層が外出を控える傾向が強く、苦戦した」という。6月以降は食品を中心に客足が戻り、全体でも9月中旬から前年を上回るなど復調している。

 一方で、影響が大きいのが集客装置となるイベントだ。例年、年間約600回を行っていたが、コロナ禍でできなかった。昨年の10月は地元テレビ局と協業したイベントに4日間で27万人が集まったが、今年は中止に。それでも「地域に貢献する」思いから、新たに店内広場を使ったマルシェを設置。鹿児島県のエリア別に、名店や特産品などを年間52週で揃え、地方のショップの販売機会や客とのコミュニケーションの場を設けた。また、県内の小中学校を修学旅行の変わりに受け入れ、環境問題に取り組む企業などの学習会やショッピング体験などを始めている。

いち早い復調を見せたイオンモール鹿児島

 イベントは各施設にとって、集客とともに客の笑顔や元気になってもらう大事な要素がある。密を避けるために自粛していたが、9月からようやく再開しつつある。マルヤガーデンズは9月、親子で楽しく学べる「宙ガーデンズ」を初開催。アミュプラザ鹿児島は10月、県内学生と取り組む「ベンチプロジェクト」を始動した。ベンチを手斧(おの)で仕上げ、塗装作業後に鹿児島中央駅や霧島神宮駅など県内4駅に寄贈し、地域とのコミュニケーションを深めた。JR鹿児島シティの日高淳一社長は「お客様や広場の元気を取り戻すためにも、イベントはできる限りやりたい」という。

《インタビュー》イオン鹿児島店店長 伊藤順さん 長く地域に愛される施設を


 競合激化が進む鹿児島市商圏に対応するため、3年をかけたプロジェクトで大規模改装を行いました。子供関連は1.3倍に拡大し、2、3階には未就学児や乳幼児の遊び場を新たに設けるなど、ファミリー層をより強化しました。今年3月下旬からの第1期から最終的には7月末までに全てがオープンしました。

 しかし、コロナ禍で、テレビCMは打てず、専門店街の臨時休業や外出自粛など、環境や状況が一変し、テナント企業の方針転換による想定外の撤退や品揃えの変更などもありました。そのなかで、まずはお客様への安心・安全を徹底し、地域に貢献できることを第一に考えて、環境面などの整備も進めました。雨風などで劣化していた敷地内や道路沿いの施設誘導、広告看板などは、きれいに塗り直すなどで開業当初の新鮮さやイメージアップに努めました。

 コロナ禍は想定外ですが、施設の立地環境は今後向上します。近隣には湾埋め立てによるマリンポート建設や新規道路の開通による市内からのアクセス向上などが控えています。現在はインバウンド(訪日外国人)は厳しい状況ですが、これらの環境整備により、将来的な集客増が見込めます。現状だけを見るのではなく、考えられる将来をきちんと想定して、テナント構成や改装に取り組んでいきたいと思ってます。

 次世代に施設を残していきたい。お客様によろこんでもらえるものは何か、この施設に必要なものは何かをしっかり考えていくことが、地域への貢献につながり長く愛される施設になっていくと思います。環境全体は厳しいですが、皆で取り組んでいきたいと思います。

(繊研新聞本紙20年11月11日)

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