コロナの影響受け減収基調の愛媛県松山商圏 県内活性化へ新たな動き

2020/09/19 06:26 更新


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5年程前から継続的に新規ブランド導入に取り組み、館の魅力向上に取り組んでいる伊予鉄高島屋

【地域流通 中・四国】コロナの影響受け減収基調の愛媛県松山商圏 県内活性化へ新たな動き

 増収基調で推移していた百貨店、商業施設も、19年度業績は軒並み減収となった。上期は順調だったが、10月の消費増税に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大が影響した。20年度は、外出自粛や緊急事態宣言発令に伴う臨時休業や時短営業もあり、さらに厳しい状況で立ち上がっている。営業再開後は、各施設とも回復基調にあるものの、新規感染者が再び増加し始めたことで、商業施設の売上高や商店街の通行量は〝一進一退〟を続けている。加えて回復を阻んでいるのが、コロナ禍による不採算および低収益ブランド・ショップの退店の顕在化だ。今夏での退店も多く、対応に苦慮しているのが実情だ。こうしたなかでも、今後の愛媛県内経済の活性化に向けた取り組みも動き出している。

中心部、郊外とも減収

 特選衣料雑貨、服飾雑貨、食料品など全方位的に新規ブランドの導入などの改装効果などで、17、18年度と2期連続増収だった伊予鉄高島屋。19年度(20年2月期)は3期連続増収を計画していたが、売上高は前期比0.2%減の342億6200万円となった。入店客数は0.6%増と伸ばし、とくに特選衣料雑貨や時計など高額品は好調だったものの、増税後の反動減や新型コロナウイルス感染症拡大が影響した。減収が続いており、大規模な改装を計画している松山三越も、19年度(20年3月期)売上高は10.4%減の117億3100万円と低迷した。ANAクラウンホテル松山の商業ゾーン、アヴァ(運営は松山総合開発)も前年割れ。18年度は地下1階から地上3階の全フロアが前年実績を上回り2期連続増収だったが、19年度(20年3月期)は3.9%減の17億3900万円となった。松山市に隣接する松前町にある郊外型大型SCのエミフルまさき(運営はフジ)も、18年度の全館売上高は微増だったが、19年度は0.6%減の346億1900万円で、市内中心部、郊外ともに増税とコロナの影響を受けた。

 20年度は、臨時休業、時短営業、外出自粛などが、各施設の業績にさらに大きな影響を与えている。4月中旬から5月中旬まで臨時休業した松山三越の月次売上高は4月が67.1%減、5月70.3%減となるなど市内の各施設ともに大きく売り上げを落とした。4月中旬から5月初旬まで臨時休業したエミフルまさきも、3~5月売上高は44.2%減だった。


再開後は回復基調も

 おおむね通常営業となった6月以降は、回復基調にある。松山三越の6月は33.4%減。7月は19.7%減(速報値)で既存面積ベースでは9%減になるという。「着ていく目的がない」衣料品は低調だが、食料品は堅調だ。6月はギフト用品や中元の法人需要、7月は外商需要などで呉服・美術・宝飾品が29%増と伸ばしたほか、リビング用品が堅調だった。全館営業再開後の買い上げ率が大幅に向上しているのも特徴だ。

 伊予鉄高島屋は6月9%減、7月10%減で、2ケタ増の特選衣料雑貨のほか、時計や東急ハンズは順調に回復している。アヴァも値下げ販売の前倒し効果もあって6月は3.1%減。7月は約10%減だが「2ケタ増のファッション店もある」。エミフルまさきも6~7月累計で売上高約5%減、客数約15%減となり「第1四半期と比較すると緩やかに回復」している。

 とはいえ、県内、市内で新規感染者が出ると即座に客数が減少する状況で、各施設ともに今後の先行きについては不透明としている。さらに、衣料品を中心とする不採算および低収益ブランド、ショップの閉店が相次ぐ。以前から計画していた改装に伴う閉店を含め、8月末までに数十店規模が閉店する施設もある。また、コロナ禍の影響の長期化が見込まれるなかでは、全館規模の集客イベントの休止を継続せざるを得ず、〝かつての日常〟やにぎわいを取り戻すまでには時間がかかりそうだ。

県内経済の未来創る

 もっとも、県内経済の活性化に向けた取り組みも動き出している。松山三越は7月下旬、大規模な改装計画を発表した。減収が続いており、かねてから計画していたものだ。地下1階から地上8階の9層のうち、百貨店部分を主に2~4階に圧縮する。上層階には「ライフスタイルホテル」やビューティー&ヘルス関連のテナントを、地下1階と地上1階はフードホールほか食物販や飲食のテナントを導入する。21年秋に全館改装オープンする予定だ。道後温泉に近い、大街道商店街の入り口という立地特性を踏まえて組み立てたもので、客層の幅の拡大と利用客数の大幅増を見込んでいる。改装後の入店客数目標は600万人と実績比倍増を目指す。9月から改装工事に着手するため、8月末で多くの売り場・ショップが営業終了する。

 伊予鉄高島屋は、20年度上期に「エルベシャプリエ」「ケイト・スペードニューヨーク」「マイケル・コース」などを新規導入して、バッグ売り場を拡大した。このほか、「アルビオン」「レオナール」なども新規導入して、グレードの向上を進めている。下期はブランド廃止や退店対応が中心となるが「仮説による最小限の投資にとどめ、次期改装につなげる」考えだ。

 地域振興を担う、まちづくり松山は、松山市独自の電子マネー「マチカ」や共通ポイント「マチピ」の地域決済サービス「まちペイ」を活用した県内経済の活性化に取り組んでいる。県内在住者を対象に7月1日から8月末まで実施する「食べて!遊んで!松山に泊まろう」キャンペーンでは、宿泊者1人に付き1000円分のマチカなどの進呈や、マチカでの買い物や食事で利用額の20%をポイント還元する。まちペイは、〝地域マネー〟の循環による経済活性化を狙いに開始したもので、キャンペーンもその一環だ。まちペイの加盟店数、登録済み会員数ともに増え続けている、という。このほか、データマーケティングに活用するAI(人工知能)カメラの導入にも着手しており、「KPI(重要業績指標)を定めてPDCA(計画・実行・評価・改善)を回していく」(まちづくり松山)ことも検討している。

 4月に開業12周年を迎えたエミフルまさきも、大規模改装を計画している。飲食・食物販の拡充、キッズ・ファミリーゾーンの拡大、アミューズメント機能強化、トレンドショップ導入が改装のテーマ。11月の第1弾から21年夏まで5段階で計画通りに進行しているという。「多世代交流型ショッピングモールへの進化」が狙いだ。

1階の取り寄せサービス「三越伊勢丹デジタルサロン」は好調に推移しており、大規模改装後も設置する計画(松山三越)

(繊研新聞本紙20年8月19日)


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