国内外のレディスシューズの24年春夏向けは、シンプルなフォルムで遊び心を感じさせるディテールや素材が目を引いた。ペールトーンやピンクなど、フェミニンで気持ちの上がる色使いが広がった。日常の着こなしを新鮮に見せる小さな変化がカギとなっている。
（須田渉美）
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見慣れたスタイルを進化
作り手の多くが着目するのは、見慣れたスタイルを進化させる手法だ。
キレのあるカットを強みにする「ピッピシック」は、オリジナルのビジュー付きパンプスでリボン装飾の新作を出した。スクエア型のビジュー装飾も継続しているが、新作のリボン型は「手作業のニュアンスを出したい」と考え、布地を結んだような曲線のシルエットを繊細に表現した。付けるポイントも若干ずらして動きを作る。シルバー色のクラック加工のレザーを使い、フェミニンなモチーフにコントラストを利かせた。
イタリアの「ペリーコ」は、ペールトーンのレザーに加え、存在感のあるテキスタイルを生かし春夏らしいスタイリングに花を添える。都会的なスクエアトウのミュールサンダルをクラフト感覚で見せるのは天然繊維のような立体感のあるファブリック。スパンコールが揺れるポインテッドトウのミュールサンダルやバレエシューズは、夏のパーティーシーンを引き立てるアクセントに使えそうだ。
「ロランス」は、定番のモデルをインテリア感覚のテクスチャーでモダンに表現する。ソファのように鈍く光るベルベットのサンダルは、ふっくら柔らかな風合いが心地良さを誘う。ペールトーンのレザーを使ったミュールサンダルは、ミッドセンチュリーの雰囲気を持った生地でソールを覆い、すっきりとコントラストを利かせた。
ユニークな造形で遊び心を表現するのは「メゾンミハラヤスヒロ」。表向きは、大人のエレガンスを感じさせるパンプスやミュールサンダルだが、使いかけの歯磨き粉のチューブのようなヒールを取り付け、キュートな魅力を引き出す。プラットフォームのサンダルやブーツには、アヒル型のヒールが付いている。
