ルネサンス(14-16世紀頃)とともに広まっていったニットの主役は、靴下です。この技術がもたらされるで、靴下(今のタイツのようなものを含む)は織物で作られていましたから、編物ならではの伸縮性が喜ばれたのですね。
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その当時、生産大国として栄えたのが、特に、イタリアとスペインでした。フランスでも1527年8月16日、靴下類編物職人組合というギルド(商工業者の間で結成された各種の職業別組合)の設立勅許状が残っていて、この少し前から、ニット靴下が商業生産されていたと考えられています。
靴下編みの機械化に成功したのは、英国人で1589年のことでした。この後、機械化を進めた英国はセーター類を含むニット大国へと歩み始めました。
ちなみに、今、日本ではスポーツウェアの一つなどをジャージーと呼びますが、これは英国のジャージー(Jersey)島※から名づけられました。英国海峡の南に浮かぶ島です。
※「ジャージー代官管轄区」と呼ばれ、英国王室属領ですが、外交、国防以外は英国議会の支配を受けず、独自の議会が内政を運営しています。
この辺を10世紀に占拠したノルマン人(バイキング)がニット技術を持ち、高度化させて独特の編み模様のセーターなどを15~17世紀に完成させました。各地に伝えた技術の一つが、アイルランド・アラン諸島のアランセーターになったと言われます。こうして、19世紀には、ジャージーは毛糸で編まれた「セーター」「ニットウェア」の意味となりました。