ようやく長いロックダウンが明け、気候の上昇とともに街にも人にも活気が戻ってきたベルリン。音楽に限らず、”パーティー”という言葉から遠退いていたファッション業界も徐々に以前のような華やかさを取り戻そうと勢力的に動き始めた。
まず、先手を切ったのが、ジル・サンダー、ドリス・ヴァン・ノッテン、ロエベをはじめとするメゾンブランドを中心に取り扱っているベルリン随一のセレクトショップ”ANDREAS MURKUDIS”だった。フットボールとファッションを融合させたマガジンSEPPとPUMAとのコラボレーションパーティーというのは、少し意外な気もしたが、久しぶりに届いた”ファッションパーティーの招待状”に嬉しさが込み上げ、友人を誘って参加させてもらった。
この日は、店舗前のテラスと広い駐車場をパーティー会場に、DJブース、バーが設置され、白ワインやジュース、プレッツェルなどのスナックが振る舞われた。スタイリッシュなゲストたちが笑顔で語らう姿を見た時、懐かしさと嬉しさが同時に込み上げてきた。以前は、この光景が日常的だったことを考えるとその方が異常だったのではないか?と思えるほどだ。
ANDREAS MURKUDISは、アンドレアス氏自身が全てのバイイングを手掛けていることでも知られており、日本にも彼のファンは多い。日本のブランドやプロダクトが大好きで、年に2回は日本を訪れていると以前に聞いたことがあったが、今はそれが出来なくなってしまった。銀座に店舗を構えるという話もあったがコロナ禍でどこかへ消えてしまったのかもしれない。しかし、”1年振りにこうやってパーティーが開催出来ることをとても喜んでいる”と、今回のパーティーについて本当に嬉しそうに話してくれたのがとても印象的だった。
以前ならいろんな場所で顔を合わせる機会のあったPRの知人にも久しぶりに会うことができ、同日開催されていたベルリン国際映画祭の関係者も多く来場していたようで、いろんな人と出会うことができ、パーティーの醍醐味を改めて感じた。
そして、自分的に何よりも嬉しかったのが、シークレットゲストとしてDJをしていた世界的DJのHellのプレイをフリーで堪能させてもらったことや、DJ Hellとも親交の深いTiefschwarzのAliもかわいらしい娘と来場していて、気さくに話が出来たことである。ファッション業界と音楽業界のトップたちが繋がっているのは普通のことであるが、あまりにも長い間そういった機会や接点と離れていたため、ファッションと音楽における”ご馳走”が一気に訪れたような瞬間だった。
長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。