近鉄百貨店、事業コンテンツ広げる スポーツ事業など

2019/06/27 06:28 更新


 近鉄百貨店が事業コンテンツを広げている。今秋からスポーツ事業を開始する。地域商社事業では販売チャネルの拡大に取り組んでいる。中国の越境ECへの出店も広げる。また、食を中心とする海外ブランドの国内展開も視野に入れる。18~20年度の中期経営計画で打ち出している「共創型マルチディベロッパーへの変革」に積極的に取り組んでいる。

(吉田勧)

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 スポーツ事業は、FC店としてフィットネスジムを店舗展開する。今秋に近鉄百貨店草津店にミセス層を中心顧客層とするFC1号店を開設する。シニア層や子供向けなど対象客層別のメニューを開発しながらスポーツ事業として多店舗展開していく計画だ。FC事業は「成城石井」「オンデーズ」「タリーズ」「ABCクッキングスタジオ」など現在8業種20店を展開しており、フィットネスジムは9業種目となる。

 地域商社事業では、18年度から奈良店に「大和路」、四日市店に「伊勢路テラス」など地元産品を販売する売り場を各店に開設してきた。卸事業の拡大を目的とする販売チャネルの開拓を進めており、日本郵政グループの近畿2府4県と一部東京の郵便局など約3100カ所を対象とするカタログに大和路の商品掲載を開始した。このほか、小売店での販売も計画している。

 越境ECへの出店は、インバウンド(訪日外国人)対応強化の一環として、18年夏に中国EC大手の京東集団が運営する越境ECモール「JDワールドワイド」に近鉄百貨海外旗艦店を出店した。当初に比べて「伸び率は5倍」で推移しており、今春には「小紅書」にも出店、他モールへの出店も進めていく。このほか、アジアの飲食店など食関連の海外ブランドの国内自社店舗での販売のほか多店舗展開も検討している。

 これらの事業は、あべのハルカス近鉄本店のある阿倍野・天王寺エリアの魅力向上や地方・郊外店の活性化に活用するだけでなく、「暮らしに関わるモノやコト、サービスをマルチにディベロップメントしていく」(秋田拓士社長)ことで事業を拡大していくことが狙いだ。

 阿倍野・天王寺エリアの魅力向上では、近鉄本店の2階化粧品に今秋、10ブランドを新規導入し、約70ブランドに取り扱いブランド数を拡大する。また、隣接するフープの地下1階に、10店約400席の飲食ゾーン「フープダイニングコート」(仮称)を今秋、新設する。このほか、通天閣や天王寺動物園など地域施設と連携し、各施設の特典やサービスを盛り込んだ「あべのパスポート」を発行する。



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