1933年9月21日は、宮沢賢治が世を去った日です。1896年8月27日に今の花巻市に生まれています。
父、政次郎の姉で宮沢ヤギという人がいて、幼い賢治をおぶって土地に伝わる昔話を語ったようです。花巻川口尋常小学校では19歳の熱心な教員、八木英三が担任となります。
文学青年でもあったのでしょう。童話を読み聞かせてくれたのです。たいていは西洋の『家なき子』といった類いのものだったようです。その後、自分でも童話を読むようになり、やがては童話を作るようになったそうです。
宮沢賢治といえば、誰もが『銀河鉄道の夜』を想起するでしょう。宮沢賢治はたしかに詩人でありましたが、その一方で多くの小説も書いています。
ほぼ同じ時代に書いた短篇に『革トランク』があります。主人公の斉藤平太はおそらく賢治の分身かと思われます。どんな格好か。「斉藤平太は茶いろの乗馬を穿(は)き赤ネクタイを首に結んで…」。宮沢賢治がほんとうに乗馬ズボンをはいたかどうかは定かではありません。が、乗馬ズボンに興味を持っていたのは間違いないでしょう。(服飾評論家・出石尚三)