関西からLGBTQ(性的少数者)のアライ(支援者)をもっと広げたいという願いを込めたイベント「関西アライモ2025」が、大阪市浪速区の複合施設「ヨロベース」で開催され、120人の観客が集まった。大阪・関西万博の「まちごと万博」登録事業として位置付けられた同イベントは、ファッションショーやトークショー、交流会を通じて、ジェンダーや多様性への理解を深める場となった。
(津田茂樹)
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7ブランドが登場
主催は関西アライモ実行委員会(山本超基委員長)とヨロベース。ショーには「bde(ボーデ)」「なにわ小町」「ココラ」「東京ファッションリンク」「リコレ」「Tストーリー」「プレゼンス!」の7ブランドが参加した。「イッセイミヤケ」など数々のショーを手掛けた大林佳喜氏の華やかな演出で、LGBTQモデル7人とアライモデル23人がランウェーを闊歩(かっぽ)し、観客を魅了した。
ジェンダーレスブランドのリコレは、関西アライモで念願のデビューを果たした。原色の鮮やかなドレスのパーツをステージ上で別のモデルに付け替える演出で変化の楽しさを表現した。こども食堂でのショー開催など、社会的活動にも積極的なTストーリーは新聞紙を素材にしたドレスで登場。SDGs(持続可能な開発目標)、ユニバーサル志向を体現した。


トークショーは、スークカンパニーの林容ディレクターと東京ファッションリンクの平出智子プロデューサーが登壇。ファシリテーターを務めた山本委員長の進行のもと、既存の枠にとらわれない阪急うめだ本店のうめだスークの売り場作りや、モデルではなくクリエイターが主役となるイベントの意義について語られた。林氏は「変化が基本」「当たり前を疑う」売り場の背景を紹介し、平出氏は東京ファッションリンクを通じた業界活性化への思いを語った。
まず10回を目指す
山本委員長は閉会のあいさつで「関西アライモは10年続けるつもりで始め、半分に到達したところだが、今はむしろ10年以上続ける必要性を感じている」と語り、最近の分断や差別が広がる風潮を懸念した。そして、「まずは10回を目指してますますパワーアップしていきたい」と話した。閉会後には、「産地との協業やファッションコンテストの実施など、若い人たちをもっと巻き込んでいきたい」と今後の意向も示している。

多様性を祝福する場として、関西アライモは地域とファッションをつなぐ新たな文化の発信地となっている。ファッションを通じて社会課題に向き合うこの取り組みは、今後も継続的な発展が期待される。