ストリートアートが集結したミュージアム(宮沢香奈)

2018/06/20 12:19 更新


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ブリュッセルの現地レポートとして最後にお伝えしたいのが、現代アート・ミュージアム”mima(The Millennium Iconoclast Museum of Art)である。ブリュッセルのアートと言えば日本でも人気のコミックTINTIN(タンタン)が有名だが、街のあちこちで見かける壁画もストリート感溢れるグラフィティーよりコミックキャラクターが目立っており、独自のアートシーンが確立されているのだと思った。


ブリュッセルのスヘルデ運河沿いにある”mima”は主にストリートアートにフォーカスしたミュージアムとして、2016年4月にオープン。PARRAやバリー・マッギー、トッド・ジェームスなど、ストリートアート界を代表する世界的アーティストの作品が多数常設されており、ビールの醸造所跡地を改装したという風情ある建物と工事現場とグラフィティーしかない近隣の雰囲気も相重なり、完璧なロケーション。やはりストリートアートは砂埃や紙くずが舞う退廃的な環境が良く似合う。観光エリアである中心地の美しい雰囲気とは違い、ここ周辺はブリュッセルでありながらベルリンの東を彷彿させるアンダーグラウンドな空気を感じさせてくれ、それもまた良かった。

バリー・マッギー作品
PARRA作品

ミュージアムのある敷地内には若者で賑わうホステルとレストラン・バーのみ。わざわざ足を運ぶ価値のあるロケーションとコンテンツだが、夜間の近隣の雰囲気は決して良いとは言えないため、明るい時間に行くことをおすすめする。


私が訪れた4月末はスウェーデン人アーティストAkayとOlaboの二人による『WONDERLAND』という期間展が開催されていた。彼らは主に使われなくなって放置されたままのオフィスビルや解体前の産業施設など都会にある廃墟をジャックしてはインスタレーションを行っているストリートアーティストである。グラフィティーと同様に彼らの活動もほとんどがイリーガルなため制作したらすぐにビデオや写真に収めて残すようにしている。同展ではその制作風景や再現した作品が展示されていた。


エントランスを抜けるとすぐに壁一面に積み重ねられた山ほどのモニターが出迎える。今作『Panopticon』は、あちこちに自分の姿が映るためゲームのような面白い感覚に陥るが、日本語の意味は”全展望監視システム”である。受刑者がいつどのように監視されているか分からないようになっている刑務所の監視モニター室を表現している。自分たちの住む街も同じでは?といったメッセージが込められているようだ。

『Panopticon』by Akay & Olabo

他にも廃材木を使用して制作されたドアの作品『The Corridor』は同展のために制作された作品だが、廊下にずらりと並んだ全てのドアが様々な形でロックされており、開けることは可能だがそれぞれにユニークな仕掛けが用意されている。開ける度にノコギリや缶詰など予想外の物が出てきてはそれに驚かされるビックリ箱のような仕組みとなっている。

『The Corridor』by Akay & Olabo

自分の先入観で物事を決めつけるのではなく見直す必要があるのでは?といったメッセージなのだろうか?作品の全てを理解することは出来なかったが、彼らが得意とするブラックユーモアや遊び心を取り入れつつ、mimaの今年のテーマである”市民の不服従”にも沿ったアートインスタレーションは、現代社会への何かしらのアンチテーゼを掲げている。

mima

39-41, Quai du Hainaut

1080 Brussels, Belgium

http://www.mimamuseum.eu/


 

宮沢香奈/Kana Miyazawa ライター、コラムニスト、コーディネーター。長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’s FUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある


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