ハドソンヤードのパーティーで思ったこと(杉本佳子)

2019/03/16 11:00 更新


ハドソン川近くのミッドタウンにできた新しい商業施設、ハドソンヤードのオープニングパーティーが14日夜、盛大に行われた。

ショッピングモールには、ニューヨーク初出店のニーマンマーカスを初めとする100店舗とレストラン25店舗が入居する。小売スペースは92900平方メートル。そこに、歩きにくいくらい大勢の人々が来場した。

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さまざまな店とレストラン、通路の至る所でシャンパン、ワイン、カクテルがふるまわれ、食べるものも、これでもかというくらい豊富に提供された。あれだけ大勢の人が食べていても、まだまだあったというのが素晴らしい。座って食べられるところもあったが、多くの場合は立ち食いだ。

あるレストランの前では、「朝8時半くらいの混雑がちょっぴり緩和されたくらいの東横線の電車の中で立ったまま食べたらこんな感じかも」と思ったくらいの、人ごみの中で食べることに。それでも、近年まれにみる大がかりで贅沢で華やかなオープニングパーティーだった。

その空気感の中で思い起こしたのは、あの「セックス&ザ・シティー」。「セックス&ザ・シティー」が再来したかのような世界だった。

ニューヨークファッションウイークだけを見ていると、正直、「ニューヨーク大丈夫かな」と思ってしまうことがある。ヴィクトリアズシークレット、アバクロンビー&フィッチなど、数10店舗単位で閉店するというニュースは断続的に出てくる。そんな不安や懸念を吹き飛ばすようなパワーが、パーティーでは感じられた。

ハドソンヤードは、この商業施設だけでなく、高級コンドミニアム、オフィススペース、ホテル、学校、公共スペースも抱えるアメリカ史上最大の再開発で、総工費は200億ドルにのぼると言われている。ハドソンヤードが小売業界に希望をもたらしてくれるのか。楽しくワクワクした気分が、オープニングパーティーの時だけだったなんてことにならないことを切に願う。

それでもやはり、一番楽しさを出しやすいのは飲食だ。話題性のあるレストランが多いが、それとは別に、グルメフードチェーンのシタレラが2階に入っている。シタレラの前には生ハムやチーズなどがずらりと並び、長い行列が絶えることがなかった。

待つのをあきらめてシタレラの中に入ったら、さらに試食の天国!牡蠣売り場では、牡蠣を好きなだけその場であけて渡してくれる。こんなことは、オープニングパーティー以外ではあり得ない。寿司も人気だった。

出来立ての海老のベーコン巻きは、シェフ自ら渡してくれる。熱々が美味しいし、やはり楽しさがある。

マンゴープリンやティラミスなど、スイーツも豊富!ちなみに、シタレラでは20ドル割引クーポンが配られた。正式オープン後にお客を呼び寄せるいいアイデアといえるだろう。

MUJIも、店内にコーヒーショップを設けていた。ニューヨークの他のMUJIにはない試みだ。

日系のブランドでは、ユニクロも出店している。

ファッションでは、ダラス発のセレクトショップで、ニューヨーク初出店のフォーティー・ファイブ・テンに注目したい。5階にあって、広さは4600平方メートル以上。それでも、ダラスの店の半分以下という。感度が良く、ハドソンヤードに来たら必ず立ち寄ってみたい店と思った。

ハドソンヤードの名物の1つは、ショッピングモールの向かいにあるヴェッセルだ。階段と踊り場のみで構成されたモニュメントのような建築物である。ただ階段を上り下りして景色を眺めるだけの施設なのだが、入るのにチケットがいる。チケットは無料だが、ネットで予約する必要があり、現時点では入手困難になっている。こうしたユニークで入りにくい施設を設けることは、来場者を増やす一助になるかもしれない。

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89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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