国産羊毛の有効利用を目的に活動する「ジャパンウールプロジェクト」(水森吉紀会長=東亜紡織社長)は、5.7トン(前年は3トン)の脂付き羊毛を集めた。19年に有志で始まった取り組みは、今年で4年目になる。21年から日本羊毛産業協会内に事務局を置いている。羊毛の量は19年の400キログラムから毎年増加している。
今年は新たに8牧場が加わり26牧場が参加した。品種別ではサフォークが45%と主力ながらも、ポールドーセット21%、サウスダウン11%、コリデール6%、フライスランド1%と種類が広がった。参加牧場が拡大した背景には、コロナ禍で開催できなかった2年間に宮城県と北海道の3カ所での「スカーティング講習会」の存在がある。
スカーティングは刈り取り羊毛のうち、利用できるところとできないところを仕分けする作業。主として牧場で行われるこの工程を経由した羊毛は、その後、品質が安定化する。「この講習会で牧場主のモチベーションが高まった」と同協議会はみている。5.7トンの羊毛から3トンの紡績用羊毛を採るのを目標としている。
「メリノ種と違って、繊度の幅が広い。紡毛だけでなく今年からは28番手双糸などの梳毛向けに挑戦する」計画だ。8月中旬までに洗い上げを完了、9~11月には糸、10~12月には織り編みを終え、来年早々には製品化を終える見込み。
今後、協議会は参加牧場の拡大と羊毛ブレンドの基準、用途の拡大に取り組む。