ジェトロ 越境EC軸に中小企業の海外販売を支援

2021/05/28 06:26 更新


 ジェトロ(日本貿易振興機構)はコロナ禍を踏まえ、越境ECを軸に日本の中堅・中小企業の海外販売支援事業を強化する。20年度に成果を上げた海外EC販売プロジェクト「ジャパンモール」などを拡大、今年1月に試験運用を開始した海外バイヤーと日本企業の常設マッチングサイト「ジャパンストリート」を本格化するとともに、大型越境ECサイトへの出店支援事業を始める。昨年に開始した海外のオンライン見本市への参加などと合わせ、「コロナ禍で海外との自由な往来ができない中で、デジタルを活用して中堅・中小企業のビジネス機会を創出したい」(佐々木伸彦理事長)という。

 大型越境ECサイトへの出店支援事業は「7月ごろから参加者を募集し、9月ごろに販売を開始する」予定。大型サイト1社と組み、サイト内に「メイド・イン・ジャパン」コーナーを設け、ジェトロが出店、販促、商談などを支援する。ファッション商品を含む全分野を対象とし、「海外EC向け輸出事業者の大幅な裾野拡大」を目指す。

 ジェトロは日本商品の海外ECサイトへの輸出販売を支援するジャパンモールで越境EC支援に取り組み、成果を上げている。20年度は連携先が19年度の16カ国24サイトから18カ国67サイト、登録企業・商品数が19年度の1481社・9609商品から2354社・1万5426商品、輸出成功企業・商品数は19年度の延べ822社・3011商品から延べ2237社・6604商品に拡大した。20年度の輸出成功額は19年度の約8倍の約80億円に達した。「コロナ禍での世界のEC市場拡大を捉えることができた」という。

 新たに大型越境ECサイトへの出店支援を始めるのは「参加費用がかからないジャパンモールとは別に、自社でコストを負担してでも大型の海外サイトへ出店したいという企業の声に応える」ため。ジャパンモールも引き続き拡大する。

 ジャパンストリートはジェトロの招待バイヤー専用の日本商品紹介サイト。日本の事業者に無料で「世界の優良バイヤーと通年でマッチングできる機会を提供」し、引き合いがあった場合はジェトロが仲介し、商談を支援する。「ジェトロが持つ海外進出支援のノウハウと海外ネットワークを活用する」ため、開始した。既に22カ国のバイヤー約190人が登録し、5月21日時点で国内1111社が8547商品をサイトに掲載、「100件以上の商談・見積もり依頼があり、好評」だ。今後、本格稼働させる。

 昨年度はジョトロとして出展予定だった海外展示会・商談会の83%に当たる43件が中止・延期となった一方、オンラインで国内外をつなぐ商談会を398件実施した。新たに、アリババ・ドットコムや世界最大のアパレル専門のオンライン展示会「JOOR」など通年型オンライン展示会への出展事業も開始。977社が出展し、見込みを含めて3591件の輸出実績を上げた。今年度はデジタルスクールなどオンライン活用の支援スキームも加え、オンライン展示会への総合的な支援サービス「ジャパンリンケージ」として拡充する。

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