日本航空(JAL、東京)は機体点検整備のJALエンジニアリングと商事流通のJALUXの3社共同で、退役となったボーイング777の航空機部品のアップサイクルに取り組んでいる。独自に商品開発する一方で、木製家具のリサイクルに取り組むカリモク家具(愛知県東浦町)と協業したインテリア製品も提案する。
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整備士の思い伝える
「航空機を日本で解体するのは初めて。整備士たちにとって機体は愛着のあるもので、それを何とか残していきたかった」と、加藤孝哉さん(マイレージ・ライフスタイル事業本部ライフ・コマース事業部)は話す。自身も以前は整備士として毎日機体に触れており、異動した後は機体のアップサイクルを提案した。通常、役目を終えた航空機はアメリカに送られて部品などがリサイクルされる。それが様々な理由で「初めて日本で解体することができる。整備士たちにとっては特別な感慨があった」という。解体して廃棄するのではなく、アップサイクルすることで意味のある商品を生み出す。航空機マニア向けにはエンジンファンのブレードをオブジェとして、またシートファブリックを使ったショルダーバッグなどを製作して自社サイトで販売した。
カリモク家具と協業
一方で、木材のリサイクル、アップサイクルにも積極的なカリモク家具と協業した。7人の建築家やプロダクトデザイナーが部品や素材を選び、スツールやテーブルなどのインテリアやブリーフケース、ジュエリーボックスなどをデザインした。6月に開かれた「インテリアライフスタイル」展で「アップサイクリング・エアラインJAL-カリモク」を展示し、10月7日まで、ギャラリー「カリモクコモンズ東京」で広くプロダクトを披露した。カリモク家具とのコーディネートも試みた。デザインの力によってより身近で、リアリティーのある展示となった。

JALは「カリモク家具とタッグを組むことでインテリアになじみ、より多くの人にアップサイクル品として実用的な価値を提供していきたい」としている。今後は「製品を精査しながら自社サイトやJALショップなどでの販売を模索していく」という。
(村上洋一)