アパ産協「百貨店開店前納品に関する業務改善」説明会 物流効率化へ業界越えた検討進む

2023/04/20 06:26 更新


 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)は、会員向けに「百貨店開店前納品に関する業務改善」についての説明会を開いた。経済産業省と国土交通省が主催する物流効率化に関する有識者会議「フィジカルインターネット実現会議」の百貨店ワーキンググループが策定したアクションプランに沿った、百貨店、アパレル企業、物流会社の業界を越えた取り組みを会員企業に周知する活動の一環だ。

 説明会では、中野剛志経産省消費・流通政策課長兼物流企画室長がアクションプラン策定の背景、経緯を報告。24年に時間外労働の上限(年間960時間)規制がトラックドライバーにも適用されることでさらに物流コスト高騰が予想される「2024年問題」が、物流クライシスへの対策実施の緊急性を高めている。このため、政府は有識者を中心に関係業界団体がオブザーバー参加する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」での検討を始めた。23年2月には「規制的措置など、より実効性のある措置を検討すべき」などとする中間とりまとめを公表している。6月には方向性を取りまとめ、24年の国会に法案提出の見込みという。

 対策の基本は、物流効率化、特に積載効率向上によりコストを抑えながら、賃上げや労働環境改善によってドライバー供給を増やすことだ。これを実現するのが、企業間の連携による徹底した共同輸配送=フィジカルインターネットだ。中野氏は「物流効率化は物流会社のみでなく、荷主企業の問題という理解は広がりつつあるが、時間がない。百貨店、アパレル企業、物流会社の検討は決して無駄にしない環境づくりに注力する」と締めくくった。

 森野保則JAFICロジスティクス委員会物流小委員会委員長は「開店前納品の是正と納品リードタイム緩和の取り組み」について報告した。30年に向けたアクションプランのうち、23年度実施の「慣習的な開店前納品の是正による納品時間指定の緩和」について、百貨店、アパレル企業、物流会社の検討が進められているものだ。また、検討に参加する納品代行企業を代表して本多秀樹東京納品代行取締役執行役員が、百貨店輸配送の現状と課題について報告し、開店前納品に伴う深夜検品の問題点などを紹介した。



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