独ミュンヘンで12月3~5日、スポーツ用品の見本市、ISPOミュンヘンが開かれた。商品の展示に加え、テクノロジー、サステイナビリティー、健康、ファッションといったテーマを包含し、スポーツ産業の新しい動きを示す講演やカンファレンスも行われた。スポーツ用品ビジネスに軸足を置きつつ、コーチや療法士など幅広いスポーツ関係者を対象に、多面的な情報発信とネットワーク構築の場を提供するようになった。
(ライター・吉田恵子)
主催のメッセ・ミュンヘンによると、出展社数は昨年と同程度の2400社強だった。ただ、「ジャックウルフスキン」「マムート」「アイスブレーカー」「デサント」など常連のアパレルブランドが出展せず、展示ホール数は前年より1ホール減った。関係者によれば、出展を見送ったブランドの多くは、ISPOアワード応募者やセミナーの講師、来場者として参加していた。
革新的製品を表彰するISPOアワードや、新興ブランドを集積する「ブランニュー」ゾーン、ユニークで革新的な素材を選ぶ「テックストレンド」では、規模・歴史を問わず多様な企業が新製品を発表した。特にISPOアワードは、技術力に加え、環境配慮やデザイン性など複合的な要素を備えた製品が受賞する傾向が強まった。
MNインターファッションが、羽毛サプライヤーである米アライドフェザーダウンと共同開発した「1000フィルパワーエクスペドライダウンジャケット」は好例だ。軽さや速乾性といった機能性とデザイン性を備えるうえ、原産地をトレースでき、化学処理されていないダウンを使う。
昨年に設置され、ファッションとの融合をテーマとしたエリア「ツァイトガイスト」では、「スノーピーク」「アンドワンダー」などが出展。ISPOとパートナーシップを組むCIFF(コペンハーゲン・インターナショナル・ファッション・フェア)が選んだブランドによる、スポーツと親和性の高いアイテムも見せた。
ESG(環境・社会・ガバナンス)課題への最新アプローチを発表・展示する「サステイナビリティー・ハブ」では、パートナーであるパダゴニアのほか、環境対応に積極的なブランドやエキスパートが講演やフォーラムを実施し、多くの聴衆が集まった。