インディテックス、IT投資で供給チェーンの精度向上

2017/05/02 07:00 更新


ICタグ導入により、物流センターから各店への配送はスムーズになり、店頭での機会ロスが減った

 【マドリード=柏木均之】17年1月期に増収増益を果たしたインディテックスが今期も好調だ。第1四半期の半分に当たる2~3月中旬の実店舗、ECの販売は現地通貨ベースで前年同期比13%増収で推移している。背景にIT(情報技術)関連分野への投資によるサプライチェーンの精度向上がある。RFID(ICタグ)導入に加え、過去4年で10億 ユーロ を投じ、実店舗、EC双方の動向を逐次把握する本部機能の強化に取り組んできた。

 ICタグ導入は09年に開始した。当初は大量の商品に使うタグのコストなどの問題もあったが、繰り返し利用できる仕組みのめどがたち、16年には主力の「ザラ」のほぼ全店で導入が完了した。物流段階と店頭での販売における効率化で効果があったという。

 全世界で生産する同社の商品はスペインに9カ所ある物流拠点にいったん集められる。ザラでは、ICタグの導入以降、どこにどの商品がどれだけあるかを本社、各物流拠点が正確に把握できるようになり、集まった商品を個別店舗の発注に応じてアソート、配送する精度が向上した。

 店頭では、届いた商品が未開封の段階で品番、サイズ、数量を把握できるようになり、品出し前のチェック時間短縮、適正在庫量の維持がこれまでより容易になり、販売機会ロスが低減できたという。今後同社の他のストア業態にも導入する。すでに「ベルシュカ」「マッシモ・デュッティ」で着手している。

 一方、スペインの本社に開設したデータ処理センターは世界中の店舗の動向を一挙に把握し、市場ごとのニーズ対応や課題解決の速度アップに活用していく。自社ECの販売動向も市場ごとに随時把握する仕組みをスタートしており、リアルとネットの双方で、顧客のニーズに沿った商品の適時供給ができるよう、サプライチェーンをさらに高度化する考えだ。


本社には全世界の店舗の情報を網羅できるセンター機能を設置


スペインで出荷を待つ商品には、日本の個別店舗の要望通りの品番、サイズが梱包されている



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