原宿の路面店のインバウンド対策②

2016/05/01 06:42 更新


『おみやげ』が呼び水、ファッション好きの客もつかむ

 シップス原宿店 小宮健太郎店長

 

 「免税対応を始めてからまだ1年経っていないが、現時点で売り上げに占める割合は月間15~20%程度。さらに増加傾向が続いている」と小宮さん。さらにインバウンド客を取り込むため、昨年9月には、同社で初のみやげ物コーナーを入り口付近に設置した。

 

 扱っているのはオリジナル、仕入れで手ぬぐいや食器、扇子などちょっとした小物。当初は「ファッションの販売と客層が異なるのでは」との懸念もあったが、服を選んだ後、みやげ物コーナーを回ったり、みやげ物を見た後、店内の服を手に取ったりと、「買い回る海外のお客様は想定より多かった」。

 

 海外生産と日本製は店内に混在しているため、インバウンド客が増え始めた昨年ごろから「この商品はメード・イン・ジャパンなのか」と聞かれることが多くなった。このため、3月から日本製の商品を集積したコーナーも作り、それを表示するPOP(店頭広告)を付けた。

 

 接客では英語に頼らざるを得ないが、中国や韓国からの来店客の場合、それだけでは細かなニュアンスは伝えづらい。そこで接客の流れを中国語や韓国語を指差しで説明できるシートを作った。「何を探しているか」「支払い方法は」「免税処理をどうするか」まで、これで対応できるという。

 

 ネットであらかじめ欲しい商品を調べて来店する客も多く、自国語で商品の詳細についての質問を受けることもある。こうした場合に備え、英語の会話シートも作ったほか、込み入った問い合わせの際は「スマホの翻訳アプリをダウンロードして接客に使っている」という。

 

 一連の施策を通じ、インバウンド対応を強化した結果、「服に関しては大きめサイズを好む客が多い」ことや「バッグなど雑貨ではメンズ向けだが、女性客が好んで買い求めるブランドもわかってきた」。今後はこうした気付きを品揃えや商品表示に生かすことも検討している。

(繊研新聞 2015/07/06 日付 19272号掲載 肩書きは取材当時のもの)



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