【IFF・MAGIC】 セミナーダイジェスト

2017/09/28 04:29 更新


 今回本数を増やしたセミナーは、どの回も満員。特に好評だったセミナーを紹介する。

チェンジにチャレンジしてチャンスに変える

八木通商社長・八木雄三さん


 「チェンジにチャレンジして、チャンスに変えることが大事だ」。近年のファッション業界の変化として、「IT(情報技術)の発達、外国為替による経済構造の変化、流通チャネルや消費者の好みの変化」などを指摘しながら、八木通商がチェンジをどうやってチャンスに変えてきたかを報告した。

 なかでも最も大きな変化は為替で、「繊維輸出からラグジュアリーブランドの輸入へとかじを切った。チェンジに対応した代表的な事例」という。その中から「モンクレール」の成功、英マッキントッシュの買収へとつなげていった。八木社長がブランドを導入する際に最も大切にしているのは、「何よりもオリジナルのスタイルがあって、ブランドエクセレンスがあること」。そしてグローバルなマーケティングとマーチャンダイジングで、ダイヤの原石を磨き上げていけば「グローバル市場で成功することができる」と語った。

10年代、20年代のファッションの展望

ファッションデザイナー・田山淳朗さん


 自身のブランドでパリ・コレクションを続け、中国、香港でのビジネスも成功させた田山さんが、海外事業のポイントや心構え、そこから今後の展望も語った。例えば中国でのビジネスの鍵は、現地の人と話し、ポジティブに組み、その場所で作ること。80年代以降に生まれた新しい価値観の人たちが消費の中心となり、志向も変化していると統計も示した。

 そして、10年代は個性の時代、続く20年代のクリエイターのやりがいとは。日本のデザイナーは、好きな服を作るための環境を作ることが大事。帰属意識は会社やブランドでなく〝作りたい服〟に持て。そうでないと世界に広がらないと話した。

売り場の自主性を取り戻す

高島屋常務取締役MD本部長・亀岡恒方さん 



 「ブランド集めに終始した結果、百貨店の同質化を招いた。原点に立ち返り、売り場の自主性を取り戻す」。亀岡さんは、顧客、現場、取引先の声を反映した売り場開発を本格化することを表明した。実際ここ1年で、新生児向け「ハローベビーサロン」、トドラー向け「ディアキッズスクエア」、美と健康をテーマにした「ウェルビーフィールド」、働く女性を対象にした「スーツクローゼット」などを相次いで立ち上げた。いずれもファミリーや女性のライフスタイル、マーケットの変化に対応したもの。

 新たな編集ゾーンは必ずしも売り上げ、利益の増加に結び付いていないが「非効率であっても、お客様にまず来店してもらい、買い物を楽しんでもらうことが第一」という。ワンストップショッピングによる来店の動機付けに注力する。当面の最大のプロジェクトである日本橋再開発では、日本橋店の隣接街区に新館(1万7000平方メートル)を18年秋に開業する。「百貨店とSCを融合し、両者の異なる仕入れ先や調達リソースを生かす」と新都市型商業施設を目指すと強調した。




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