目指せ!品格ある女性(宇佐美浩子)

2018/03/02 18:45 更新


2月20日、迎賓館赤坂離宮にて「BEYOND EAST & WEST~日本の伝統工芸技術の革新と創造を世界へ~」をテーマに、フロアショー形式で開催されたユミカツラの着物やドレスなど60点のコレクションと、名工による手描き友禅や手刺繍の実演、そして作品の展示。

ファッションに関するイベントの会場としては当迎賓館史上初となったこの特別な催しは、過去40年近くにわたり桂由美が抱き続けた夢が、美しく大きく花開いた感動のひと時となった。

とはいえ、国際色豊かな報道陣から称賛の声を浴びる中、「まだ道半ばです」と即座にコメントされた瞬間、さらなる夢の実現を拝見したく思った次第。


1964年、日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動を開始。以来、数々の「日本初」の偉業を成し遂げられ、その活躍の場は言うまでもなく今回のテーマ同様、東西を超えている。


そして2015年のパリコレより発表し続けている江戸時代に活躍した絵師の絵画をモチーフにした作品。その最新作は、昨年5月~8月にかけて大英博物館で開催され、間もなくそのドキュメンタリーが日本でも公開になる葛飾北斎。下記の「北斎漫画-相撲・町娘」のオペラコートをはじめとする「華やかなる芸術作品」(と敬意を込めて称したい)は、いずれも格別の空間と最高のハーモニーを奏でていた。

「私の永遠のコンセプトは、品格と優雅さ。
そしてすべての作品にロマンティックを取り込みたいと思っております」

と語る、ゴッホの「バラ」をモチーフにしたグリーンのドレス姿の桂由美。

私にとっては、幼き日に「おとぎの国のお城みたい!」と密かに思い続けた館(=桂由美ブライダルハウス)の主でもあるわけで☆


ロマンあふれるイントロでスタートした今回の「CINEMATIC JOURNEY」。テーマはズバリ「目指せ!品格ある女性」

ということでまずは、この方の新作映画から。

シャーリー・マクレーン主演の『あなたの旅立ち、綴ります』。


1934年生まれのシャーリー・マクレーン。

女優としての成功のみならず、執筆業でも多くのベストセラーを生み出すなど、その才能に限りがないことで知られる。

本作はそんな彼女と同様にビジネスで成功を収めたハリエットと、自身の現実と夢に悩みを抱えつつも地元紙の若手記者として日々奔走するアン(アマンダ・セイフライド)。

言うなれば祖母と孫のような世代の異なる二人の女性が、生前に「最高の訃報記事」(=家族や友人から愛され、同僚から尊敬され、誰かの人生に影響を与え、人々の記憶に残る)執筆依頼をしたことがきっかけで出会い、ぶつかり合いながらも共に成長し、そして友情を育んでいく、喜怒哀楽満載の物語。

ちなみに絶妙なコラボレーションが印象深い初共演のヒロイン二人は、プロデューサーとしても名を連ねている。


さて本作の魅力を、勝手ながら自身のキャリア(ラジオ番組制作)的視点からも少しばかり語らせていただきたい。

というのも、子供の頃からラジオと音楽を愛していたハリエットが、なんと81歳にしてラジオDJデビューの夢を果たすべく直談判するシーンが痛快だから。

そのポイントを簡単に列挙すると;


☑裕福だからギャラはいらない

☑高齢で早起きだから早朝番組もOK

☑「ヒット曲を並べるだけ」なんていう選曲ではなく、その日のトーク内容とリンクした心に響く選曲


結果的に成功を収めることになるこの番組!

「ハリエット、ブラボ~!!!」

心の中で、思いっきり拍手喝采してしまった私がいた。

そして今も、The Kinksの「Waterloo Sunset」の余韻が♪


あなたの旅立ち、綴ります

2月24日(土)より、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国ロードショー 

配給:ポニーキャニオン/STAR CHANNEL MOVIES

提供:ポニーキャニオン/東北新社

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「目指せ!品格ある女性」をテーマに、新作のヒロインを演じる女優にフォーカスを当て、ご紹介している今回の「CINEMATIC JOURNEY」。

フィナーレを飾るのは、母国フランスのみならず国内外の名だたる監督作に主演する女優イザベル・ユペール。彼女の名演と巨匠ミヒャエル・ハネケの感性が光る、待望のコラボ作『HAPPY END』をご一緒に。


オープニングの不穏なスマホ映像から、観る者に「その先の展開」を委ねられたエンディングに至るまで、緻密に計算されたといっても過言ではない本作。

カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」に輝いた『愛、アムール』のその後を描いた、ある裕福な一家に潜む「愛と死」の物語であり、かつまたそこには世相に対する監督のメッセージが幾重にも込められている。


前作に続き、ユペールと父娘役を演じるフランスの名優ジャン=ルイ・トランティニャン。

名作『男と女』を筆頭に、これまでの映画出演作品数は100本以上に上るという。

一方、出演者も撮影地も実話を再現すべく、究極のリアリティーを徹底追及した話題作15時17分、パリ行きで監督を務めるクリント・イーストウッド。共に1930年生まれと知りビックリすると同時に、前述のシャーリー・マクレーン然り、80代の映画人の活躍に感服するばかり。

そして「チャレンジはエイジレスであり、それはまた品格でもある」ことを思い知らされた。


ハッピーエンド

3月3日(土)より、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー

提供:KADOKAWA、ロングライド 

配給:ロングライド

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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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