唐突ですが…
現在公開中のシネマ『ボヘミアン・ラプソディー』を鑑賞された方?
やや個人的期待を込めた問いでスタートした11月最初の「CINEMATIC JOURNEY」。
リアルタイムで「クイーン」の音楽やビジュアルを耳や目にした経験者(=私)はもちろん、なんとなく耳覚えのあるという初心者でも十分楽しめる音楽モノがまた一つ、アップデートされたのではないかな、と思う訳でして。
個性的で派手なパフォーマンスで知られるバンドのフロントマン、フレディ・マーキュリー。
もはやリアルで彼のライブを目にすることができなくなってしまったのですが、その素晴らしい才能は永遠に、決して色あせることが無いかと。
そして彼と共に時代を駆け抜けた生涯のファミリーこと3人のメンバーもそれぞれに優れた才能の持ち主として知られ、当時はインテリ・バンドとも称されたことが懐かしく思い出されます。
参考までに、本作資料によれば、天体物理学の博士号を取得しているギターのブライアン・メイは、2007年にリバプール・ジョン・ムーア大学の学長に任命されたとか!
そんな彼らを演じたキャストたちもまた真摯に役に挑み、スクリーンで熱演を繰り広げ、その一端を、公開直前に開催された来日記者会見でのコメントから垣間見ることができたのです。
フレディ同様、移民の家系(エジプト系)というを共通点もある当人役のラミ・マレックいわく⇓⇓
“どうやってフレディを演じたらいいのだろう?と思い、およそ1年かけて、あらゆる資料に目を通し、研究を重ね、彼の動きを学びました。その結果、自発的というか、自然発生的に動いていると理解したのです。
そこで僕は、彼の動きを完全にコピーするのではなく、モーショントレーナーについて、フレディとしての動きを進化させ、彼を裏切ることなく、称えようと思ったわけなのです”
ちなみに上記の拳を挙げる印象的なポーズは、幼少期にボクシングを習っていたことがあるからではないかという、マレックなりの分析によるものだそう。
ところで、クイーンの魅力的ステージングの一つに挙げられるのがコスチューム!特にフレディとブライアンの初期の衣装には目を見張るものがある。
本作資料内の衣装デザイナー(ジュリアン・ディ)のコメントによれば⇓⇓
“フレディは、ファッションでの主張を意識していました。よって、1970年代~80年代にかけての彼の変化を服装で伝えたいと思いました。さらに彼が日本の着物を愛したことも是非見せたかった”
余談ながら、本作の音楽総指揮をクイーンのメンバー、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが担当。
とりわけブライアンは、あらゆるチケットの半券やポスター、バンドが作ったアルバムを全て手元に保管されているそうで、ご自身のアーカイブから衣装も数点を貸し出したてくれたのだとか。
またフレディの生涯にわたるソウル・メイト的パートナー、メアリー・オースティンがファッション・アドバイザーとして勤めていた、バーバラ・フラニッキが創設したスウィンギング・ロンドンを代表するブランド「BIBA」の存在も興味深く目に映るのではないかなと。
全国ロードショー中
©2018 Twentieth Century Fox
イギリスらしいネーミングのバンド「クイーン」が放つ音楽の「永遠」なる魅力と、音楽やファッションを筆頭に時代の「流行」をテーマに設けた11月の「CINEMATIC JOURNEY」。ゴールへ向かう前に、Britなミニトピックスをいくつかシェアしたく。
<その1>
今月23日より公開予定の音楽ドキュメンタリー「エリック・クラプトン~12小節の人生~」。
「ギターの神様」とも称されるクラプトンが、クイーンのギタリストであるブライアン・メイを下記のように称賛しているコメントを発見!
⇓⇓
“クイーンには、僕ができたらいいのにと夢見るようなことをできる男が一人いる。(前後略)”(前述の作品「クイーン」の資料より)
<その2>
先日、東京・丸の内にあるインテリアショップ「ハーマンミラーストア」にて開催された「ポール・スミス&マハラム for ハーマンミラーコレクション」の展示(上記)。
2002年以来、ポール・スミスとのコラボレーションによるテキスタイルを発表しているブランド「マハラム」が、ハーマンミラーコレクションの中からミッドセンチュリーデザインの名作5点(イームズソファコンパクト、イームズプライウッドチェア、イームズプラスチックシェルチェア、エンベロップチェア、ネルソンマシュマロソファ)とコラボレーションし、注目を集めたばかり。
そのポール・スミスとのコラボによりマハラムのテキスタイルが、なんとイギリスの映画館で使用されているとのこと!
場所は、ポール・スミスの出身地、ノッティンガムにある有名な芸術的な映画を上映するBroadway Cinemaの座席。
もちろんこのほかにもホテルやレストラン、文化施設からオフィスなど、世界の様々な施設で出くわす可能性がありそうです。
「『永遠』と『流行』が放つ魅力」をテーマに設けた11月の「CINEMATIC JOURNEY」のゴールは、
ファッションの香もかぐわしいシャンソン界の伝説的歌姫がヒロインのフレンチシネマ『バルバラ ~セーヌの黒いバラ~』。
前述のポール・スミスをはじめエルメスなど、スクリーンを彩るブランドのキラメキも楽しめる本作は、監督・脚本・出演もこなすマチュー・アマルリックと、かつてのパートナーであったジャンヌ・バリバールがバルバラを演じるヒロインを演じ、現実とフィクションが交錯していくというユニークな手法にも注目したい。
余談ながら昨年から今年にかけ、彼女の没後20年を記念してパリの「フィルハーモニー・ド・パリ」にて開催された大回顧展、またジェーン・バーキンからヴァネッサ・パラディなど名だたる著名人が参加したトリビュートアルバムの発売など、本国でのバルバラ人気は永遠と流行を併せ持っているよう★
11月16日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
©2017 - WAITING FOR CINEMA - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA - ALICELEO
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中