北高とリバティジャパンが協業し、オリジナルのプリント服地を販売する。両社はプリント生地が主力の競合同士だが、北高の素材力と営業力、「リバティ」のデザイン力とブランド力を掛け合わせ、「プリントの領域からアパレル市場を活性化したい」(高山茂也北高社長)考えだ。レディスは22年春夏向け、メンズは22~23年秋冬向けから投入する。リバティプリントのアーカイブから、北高の企画・営業チームが柄を選び、配色やモチーフの大きさなどを変えて、オリジナルデザインを作った。「ホッコウ・メイド・ウィズ・リバティファブリック」として、レディス10柄、メンズ7柄を揃え、アパレル向けに北高が独占販売する。
レディスは、ビンテージ風の小花やリーフ、小花ドット、更紗、猫や風船の具象柄など。小花ドットは原案からベースの小花柄を変更したり、猫柄はモチーフを拡大して間隔を大きくしたり、風船は持ち手を短くしたりと細部までアレンジを加えている。北高の幅広い販路に受け入れられるよう、デジタルプリントをオートスクリーンで再現するなど価格を抑える工夫もした。素材はリバティを代表する綿ローン「タナローン」のほか、豊島のトレーサブルなトルコ産オーガニックコットン「トゥルーコットン」、リネンを採用した。
メンズは、リバティのアイコンの一つである孔雀(くじゃく)をダークカラーで表現したり、ペイズリーのカムフラージュ柄やウィリアム・モリスの柄を巨大化したものなど。アメカジ系ブランドも多い北高の客層を考慮した。キュプラ・シルク・レーヨンやレーヨン綿、ナイロンにプリントした。
アパレル入り価格は、1メートル当たり1000円前半から。北高がストックし、1メートルから購入可能。オリジナルのタグも提供する。販売はレディスを先行し、17日まで北高大阪本社で開催中の展示会で訴求している。競合同士が組んだ背景には、アパレル市場の閉塞(へいそく)感がある。互いに「新しいチャレンジ」を模索するなかで、高山社長が話を持ち掛けた。リバティプリントの日本での売り上げは世界の38%を占める。北高にとって「競合であり、圧倒的なブランド力とデザイン力は目標でもあった」。リバティジャパンは、英リバティのデザインを使った国産生地の製造卸として、一次卸にこだわってきたが、アパレル向けの販売環境が厳しくなるなかで「新しいブランディングが必要」(松原崇取締役営業統括)と協業に踏み切った。北高はリバティジャパンが攻め切れていなかったカジュアル分野にも強く、販路拡大にも期待する。