百貨店の教科書を破る広島三越の挑戦

2016/01/01 05:46 更新


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 広島三越の攻めの姿勢が目立つ。地方百貨店の受難の時代だが、売り場面積わずか1万6000平方㍍の"小兵"の真髄は、「百貨店の教科書を破る」ことにある。 

地方は首都圏などと比べて消費の回復が遅く、インバウンド(訪日外国人)需要も期待薄。加えて、大手アパレルメーカーが経営不振から売り場を撤退・縮小、そのあおりを最も受けているのも地方百貨店だ。厳しい戦いを強いられるなか、次の手を探しあぐねている百貨店は多いが、広島三越は果敢な挑戦を続けている。

 97年から時間をかけて作り上げた改装が、現在の礎を築いている。当時の広島市内は、4社7店舗の百貨店がひしめく激戦区。とにかくヒントを得ようと全国を渡り歩いて分かったのが、「小型店はどうしても大型店に勝てない」という百貨店の悲しい現実だった。「大型店と同じことをしては埋没するだけ。ここにしかないものをやらなければ」(松井洋文社長)と、異業種にアンテナを張り巡らせた。 

 売り場には、教科書破りの手法があふれている。まず、地方百貨店で大半を占める大手NBの数が少ない。企業規模よりもオーナーとの熱意の共有を大事にし、「フォクシー」や「ポンテヴェキオ」を初めて百貨店に誘致したのも同店だ(現在は退店)。

百貨店の1階は、利益率の高い服飾雑貨で構成するのが一般的だが、同店はワインの「エノテカ」を出入り口に配置。利益をとことん追うよりも、「ワインを通して成熟した大人に来てもらいたい」というメッセージの発信に重きを置く。部門や商品別に売り場を組み立てるのではなく、ライフスタイル編集に早くから着手している。

 「この店の最大の強み」が、28カ所のイベントスペースだ。8人からなる専任部隊が全国各地を飛び回り、週代わりで企画を回す。いまや期間限定スペースの運営は一般的だが、同店は00年代前半にこの形を作り上げた。イベントでは「東京の風を吹かせよう」と、自前主義にこだわる。日本橋本店に次ぐ売り上げを誇るイベントもある。

 同店はまた、新たな挑戦に踏み出す。16年3月、16年ぶりに地下の食品フロアを大改装し、その検証をもとに、婦人服フロアを再構築する。まずは8億円を投資し、従来のデパ地下とは一線を画す売り場を計画中だ。初年度で10億円の増収を目指す。97年からの大規模改装も、一時は全国百貨店の月坪売上高で20番台に入るほどの結果を成し遂げたからこそ、投資を続けられた。「何が何でも勝ってやる」。その危機感と信念が、また新たな手法を生む。

 

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