世界のデザイナーブランド、ハイファッションにとって23年はどういう年だっただろうか。この1年を振り返るとともに、課題や24年に向けての新たな動きを探る。
(小笠原拓郎)
加熱するインフルエンサービジネス
ファッションショーにセレブリティーを呼んで、SNSで配信する。そんなインフルエンサーを使ったビジネスフォーマットが確立した1年だった。ショーに来場するブランドのアンバサダーとそれを取り巻く喧噪(けんそう)が話題となり、関係者たちはネットでバズることに執着する。最新の服で着飾って、新作バッグを持ったインフルエンサーの映像を世界へと配信してビジネスへとつなげていく。ラグジュアリーブランドは、そうしたビジネス手法へとかじを切った。
どれだけのフォロワーを持っているインフルエンサーとアンバサダー契約を結べるのか。ラグジュアリーブランドは、アンバサダーの争奪戦を繰り広げている。そんなブランドビジネスの象徴ともいえるのが、6月に開催された「ルイ・ヴィトン」のメンズコレクションであろう。パリ市内のポンヌフ一帯を封鎖してショー会場にしたコレクションは、歌あり踊りありのエンターテインメント性の高いものだった。音楽プロデューサーでもあるファレル・ウィリアムスの持つ交友関係を生かしたイベントで、今までとは異なる市場開拓を進めようとしている。
岐路に立つファッションウィーク
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