「ハンドルーム」 袖を通して分かる着心地の良さ

2019/03/06 10:59 更新


 紳士服の企画・生産・ブランディング業務などを担うエブリマンは、スタンダードなシャツとジーンズを提案するオリジナルブランド「ハンドルーム」で、価値観を共有できる卸し先との関係を深めている。

 一見すると普通の服だが、試着すると分かる着心地の良さや美しいシルエットを伝えるには、丁寧な接客が欠かせない。「顔の見える作り手の技術力を最大限に引き出したデイリーウェアを、ぶれない姿勢を貫くオーナーに店頭で伝えてもらうことが大事」(藤澤緑朗代表)という。

(大竹清臣)

 同ブランドの卸し先は、安易にトレンドに流されることなく、濃い店作りをしている都内や地方のセレクトショップが中心だ。客層は30~40代を軸に、20~60代と幅広い。卸し先のほとんどが顧客との深い信頼関係を確立しており、モノの良さはもちろん、作り手の思いまで伝えられる接客の技量に長けている。

パタンナーと二人三脚

 ハンドルームは16年にメンズをスタート。5年、10年着られるベーシックなシャツとジーンズを中心に、どんな服にも合う今の時代の気分を取り入れたトラッドベースのデイリーウェアを作る。洗いざらしのシャツは、ドレスとカジュアルの要素を兼ね備えた「新しい定番」を目指している。アームホールの縫製ピッチを上部と下部で変えることで動きやすくしたり、ジャケットの製法を応用した丸くラウンドしたポケット、フラシ芯による襟やカフスの仕立てなど、今では使われなくなりつつある技術を採用したりしている。1万6000円から。

 ジーンズは数年後に経年変化した表情から逆算して色落ちしても青い色がきれいに出る染料を選び、あえて目を引くデザインを避け、上質な素材と丁寧な縫製にこだわる。30~40代の男性がはきやすい腰回りにゆとりを持たせたシルエットで、長く愛用できる一本を作り上げた。2万円から。

 サードタイプのGジャンやワークディテールのテーラードジャケットなど、全てのアイテムがシャツやジーンズに合う設計だ。自社のパタンナーと二人三脚で、パッと見は普通の服だが、袖を通して初めて着心地の良さやシルエットの美しさを理解してもらえる服作りを目指している。

白ブロードのボタンダウンシャツ

レディスもスタート

 18年秋冬からはレディスを加えた。以前から取引のあった島根県松江市のセレクトショップ「ダジャ」ディレクターの板倉直子さんがディレクションする。ハンドルームが培ってきた生産背景を生かし、メンズライクで上質なベーシック品を提案する。19年春夏のテーマは旅。大人の女性に向け、シンプルで美しく、着心地の良さを追求したシャツやパンツを出す。

上質でシンプルなスタイルを提案するレディス


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