都市型フェス「グリーンルームフェスティバル」に密着

2017/06/03 06:10 更新


 この時期になるとよく耳にする夏フェス。フェスファッションというジャンルが確立し、夏フェスに行くのが服を買う動機にもなるなかで、頻繁に話題にあがっても、インドア派でフェス未体験の記者はそれについていけない…。

 そこで一念発起。「メトロック」(東京、大阪)や「タイコクラブ」(長野)など本格的にフェスシーズンが開幕した5月、おしゃれ度ナンバーワンの呼び声が高い「グリーンルームフェスティバル ’17 」(横浜・赤レンガ倉庫)に行ってきました。

魅力は「ゆるさ」だ!


午前11時の開場に合わせて赤レンガ倉庫へ向かう人がたくさん

 最寄り駅から会場までは徒歩で約10分。この日は雲ひとつない快晴のフェス日和だったが、30度近い気温で、もうすでにしんどい。休憩を挟みつつ、まず向かったのはステージがあるメーン会場。ゲートをくぐった芝生広場でまず目にしたのは、ハンモックで寝ている子供や、ピクニックをしているおしゃれな男女だ。フェスといえばアウトドアウェアを身にまとう過酷なイメージが少しあったが、いい意味でさっそく期待を裏切られ、元気がわいてきた。


メインステージ付近の休憩所にはハンモックやテントが設置されていた


赤レンガ倉庫付近の象の鼻パークの「ヨガフィールド」(チケット不要) 


メインステージ「グッドウェーブ」ではチャラ、サチモス、藤原さくら、奥田民生など
約60の歌手・バンドが出演 

 来場者は20~30代が中心で、ファッション感度の高そうな男女ばかり。トレンドを意識した格好の人が多い。それは特に女性に顕著で、オフショルダーやサッシュベルト、レースガウン、ダメージデニムやワイドパンツなどを着こなす姿が目立った。日差しが強く、サングラスはほぼマストのせいもあってか、可愛さ3割増しのフェスマジックにかかる。スナップを敢行して話を聞くと、古着や海外で購入したこだわりのファッションで参戦しているケースがほとんどだ。フェスで目いっぱいおしゃれを楽しみたい! という気持ちにさせてくれるグリーンルームフェスティバルの魅力は「雰囲気のゆるさ」だと熱く語ってくれた。

会場にはお揃いコーデの人たちも多かった


派手な髪の色におしゃれな服装で目立っていた女性4人組


オールインワン、チュールワンピースなど夏らしい服装の人が多かった


お酒を片手に楽しそうに過ごす人たちも

 芝生で揺れるハンモック、海が見えるベンチに吹く心地いい風、木々に囲まれた広場に建つツリーハウス、巨大な遊具…。目当てのアーティストのライブでは熱狂するが、それ以外の時間はゆるやかで快適に過ごせる、その緩急が非日常感を増長させると同時に、女性に支持されるポイントだ。都心からのアクセスも良く、ふらっと足を運べるため、子育てを謳歌(おうか)しているニューファミリーの笑い声も響く。


フードコート(チケット必要)付近には登ることができるツリーハウスも

服の店に人だかり


 次に向かったのは、ここ数年で出店が増えているという物販エリア「サーフマーケット」。チケットを必要としない同エリアには、今年、100を超えるアパレル・服飾雑貨ブランドが揃った。

 新ブランドや新商品のアピールの場として活用したり、ただ物を売るだけでなく、その日、その場でしか体験できない仕掛けがいっぱいで、今やファッションビルや百貨店ではあまり見かけない、服のショップに人だかりが出来ている光景はうれしかった。

 「ビームス」は、同フェスのオリジナルグッズとして、会場限定でTシャツなどを販売した。その場で無地のTシャツにシルクスクリーンプリントを施す実演を行って来場者を沸かせた。


「ビームス」

 「コンバース」は新作スニーカーの告知を兼ねて、1日5回の早履き大会を実施。一番早く履けた人に新作をプレゼントするもので、応援団も含めてブース前が盛況だった。


「コンバース」

 「ベイフロー」は、人気のトートバッグの限定品を目玉にした。好きなタッセルやコンチョを選んでつけれることがSNS(交流サイト)で広まり、「このために来た」という客も多くにぎわった。「アングリッド」は、デニムトートバッグなどで、好きな2カ所にその場でリベットを打ち込むサービスなどを行っていた。


「ベイフロー」

 「フルーツ・オブ・ザ・ルーム」は、「来場者層がブランドのターゲットにマッチしている」とみて初出店、人気のパック入りTシャツを販売していた。


「フルーツ・オブ・ザ・ルーム」

 伊藤忠ファッションシステムは、今春に販売を始めたばかりの米国発のボトルブランド「ハイドロフラスク」を販売し、来場者へアピール。フェスとの相性が良く、常時売れていた。


「ハイドロフラスク」

●グリーンルームフェスティバル

 05年にスタートした都市型フェス、毎年5月下旬に横浜・赤レンガ倉庫で開催される。サーフカルチャーやビーチカルチャーをルーツに持つ音楽、アート、フィルムなどコンテンツが充実。13回目を迎えた今年は月月20、21日の2日間で11万人が来場し、前年の8万3000人を大きく上回った。今年はメインステージを拡大したほか、無料ゾーンにライブステージを新設した。近年はアパレル企業の協賛・出店が増加傾向。主催はグリーンルーム実行委員会、グリーンルーム、クリエイティブマンプロダクション。


《取材を終えて》

 記者A:サーフブランドなどメンズカジュアルの店やブランドから「会場の雰囲気がすごく良い」「出店する」などという声を何度も聞いていた。思い切って会場に潜入してみたが、人の多さ、物販エリアのにぎわいぶりに驚かされた。ある店では2000円のバッグが初日に700個近く売れたという。消費意欲の減退が言われるが、こういう場でファッションの消費が起きていることを直接肌で感じることができた。

 記者B:どきどきしながら行ってみると、人気アーティストの野外ライブ、SNS映えする雰囲気、快適に過ごせる空間など誰もが楽しめる工夫が満載だった。ファッション関係の来場者が多く、俳優IとモデルMのお忍びデート現場に遭遇したり、繊研新聞の読者にも会うことができたのはうれしかったことの一つ。出会った「ビームス」の販売員さんグループが美人揃いでした。




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