《レトロ商店街新時代 豪徳寺市場100年目の挑戦㊦》イベント施策にも手応え

2023/11/17 12:00 更新


市場内ではライブコンサートも開かれた

 新興の個店を引き入れることで、若返りに成功している豪徳寺市場。創業100周年を祝うイベントを大にぎわいで成功させるなど、地域活性化にも一役買っている。

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各店が新商品企画

 「正確には100年以上経過しているようだが、区切りよく100周年記念とした」とは、豪徳寺市場3代目の松原成幸さん。市場のさらなる盛り上がりや、店同士の横のつながりの強化も見越して、10月に「豪徳寺市場創業100周年祭」を開催した。

 各店がこの日に合わせて新商品などを企画。成幸さんの人脈などを通じて、ファッションやライフスタイル系の事業者による期間限定店を集め、集客を図った。

 器、花器など主力のライフスタイル専門店のマヌークは、ビンテージきものの販売やアップサイクルを得意とするショップ「iro」と協業し、きもの生地のポーチを企画した。 

 スムージー店ホリック・カラードリンクスは、店主の谷出一真さんの幼少期の思い出の味だという伝統菓子「鬼まんじゅう」を手作りした。「小麦粉、砂糖、サツマイモのみで作る懐かしい味は100周年を祝う日に似合うはず」

ホリック・カラードリンクスは「鬼まんじゅう」でイベントを応援

若返る商店街

 期間限定店も多彩な顔触れだ。タイのハンドメイドジュエリーを首都圏中心に期間限定店で販売する「タイラ」は、有名古着店や大手セレクトショップで経験を積んだ、安川剛史さんによる商品セレクトが魅力。素朴で温かみのあるデザインだが、一般的なシルバー925よりも銀の含有量が多い素材で作られた、白っぽい輝きには高級感があり、幅広い年代に売れた。

シルバーアクセサリーの「タイラ」など期間限定店が集結

 アフリカ雑貨を販売する「ルヴォンアフリク」のブースでは、〝市場〟をテーマにアフリカ全土から集めた手作りのカゴを販売した。身の回りにあるものを有効活用して作られたサステイナブル(持続可能)な商品は温かみがあり、インテリア好きの高感度層にも注目された。

 イベントの開始と共に多くの客が訪れた。会場内では「こんなにおしゃれな場所になったのか」など、地元客の喜びの声もあった。

100周年イベントは大盛況

 同市場2代目の松原恵美子さんは「市場が若返ってうれしい。リアルの場での接客や交流の魅力は不変だと再認識した」と話す。成幸さんは「市場内の各店主も自発的に商品企画や発信に注力してくれた。今後も楽しみながら市場と地域を盛り上げていきたい」と意気込んだ。

 全国でシャッター通りが増える中、各地で若い店主による新興店のオープンも相次いでいる。若返りを求める商店街自身がインキュベーターとなれば、双方にとって利益を生む結果が得られるはずだ。

(高塩夏彦)

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