日本ゴア(東京)が「レスポンシブル・パフォーマンス」(責任あるパフォーマンス)に取り組んでいる。環境に配慮した新素材の開発や25年までのPFAS(有機フッ素化合物)フリーの達成、ライフサイクルアセスメント(LCA)に基づいた製品のメンテナンス(ウォッシュ&ケア)などを訴求し、業界をけん引する。同社ファブリクス・ディビジョンの大貫英昭さんと阿部功さんに聞いた。
「ゴアは素材メーカーとしてパフォーマンスと同様の高いレベルでのサステイナビリティーに取り組み、それをレスポンシブル・パフォーマンスという言葉で表現しています」と大貫さんは語る。
ゴアでは耐久性と防水性に代表されるパフォーマンスの追求と、環境に配慮した素材作りの両立を目指し、92年以来「ゴアテックス」ジャケットのLCAを実施。様々な分野で環境への影響軽減に取り組み、22年秋冬にはPFASを排除した新素材「ゴアテックスePE(延伸ポリエチレン)メンブレン」を発売し、25年までにPFASフリーを実現する。
ePEの開発に大きな役割を果たした取り組みの一つが、「パタゴニアとの協働」だ。パフォーマンスに妥協せず、製品や製造過程からPFASを排除するために、ゴアとパタゴニアは10年以上をかけて試作とフィールドテストを繰り返した。完成したePEは「既存素材に匹敵する機能性を備え、より薄く、高強度で、かつカーボンフットプリントの削減を実現した」ことで、アウトドア業界の新基準として注目を集めている。
「共に素材開発に挑戦した立場としても、今春夏にパタゴニアが未来に向けて発信した『クオリティー』に関するメッセージに共感しています。レスポンシブル・パフォーマンスは当社だけで実現するものでなく、素材や製品の枠を超えて業界各社と協力することで実現していきたい」と阿部さんは語る。
耐久性を長持ちさせ、製品を長く愛用してもらうために、今秋冬は「ウォッシュ&ケアをいま一度、強く発信し、こまめな洗濯やお手入れこそが製品性能の維持と環境負荷軽減に貢献することを伝えたい」と阿部さん。PFASフリーの観点でも、撥水(はっすい)剤を非フッ素に置き換えたことで長く撥水性能を維持するために適切な洗濯は不可欠で、「ウォッシュ&ケアについてもパタゴニアを含むアウトドア各社と協力し、業界でさらに大きな輪を作っていければ」と大貫さんは語る。
ゴアの企業プロミスは「トゥギャザー、インプルービング・ライフ」(共に、生活を向上させる)。ゴアは技術革新やパートナー企業との協業などを通じてレスポンシブル・パフォーマンスを実現し、人々の生活に貢献する。