フタムラ化学 イオン液体使った再生繊維で新製法

2021/08/03 06:27 更新


 フィルムやセルロース製品を製造するフタムラ化学(名古屋)は、イオン液体を使った再生セルロース繊維の新製法を開発した。ビスコース法と比べて製造時間が大幅に短縮でき、有害物質の排出も抑えられる。今年度には実証設備の設置を完了し、来年度には生活関連用途を狙って不織布のサンプル供給を開始する。

(中村恵生)

 イオン液体とは、イオンのみで構成される液体の塩で、難揮発性や熱安定性、電気化学特性などに優れ、溶媒やガス吸収剤、リチウムイオン二次電池等への活用が期待されている。同社は、イオン液体を使ってセルロースを溶解・加工成形する技術を独自に開発し、工場の立地にちなんで〝大垣法〟と名付け、実用化に取り組んでいる。

 製法は、粉砕パルプにイオン液体を加えて溶解パルプを製造し、紡糸する。レーヨンで一般的なビスコース法では溶解時にカセイソーダや二硫化炭素を使用し、硫酸を使った凝固時には排ガスが発生するが、大垣法は溶媒にイオン液体を使用するだけで、排ガスも発生しない。溶解時間もビスコース法が30~40時間なのに対し、大垣法は2~3時間と大幅に短縮できる。

 紡糸時にはセルロース溶液を浴槽水中に吐出してトウを製造し、これをカットして短繊維化。同社では各工程の最適条件を追求し、溶解温度の最適化による溶解むらの解消、凝固時の吐出量、速度の最適化で安定した繊維化プロセスを確立した。

 環境省の助成も受けて実証プラントの整備を進めており、スパンレース設備も導入して不織布まで自社で一貫生産する。今年度中には溶解紡糸工程装置の設置も終える計画だ。

 課題は、高価なイオン液体を使うことによる製造コストの高さ。このため、紡糸工程で出る排水を回収し、排水中に含まれるイオン液体を蒸留工程を経て溶解に再利用する循環プロセスを確立する。回収率の向上など、今後も再利用の精度を高めてコスト軽減につなげる考え。

 出来上がったスパンレース不織布は、吸水性に優れ、柔らかく保水時の肌密着性が良いといった特徴がある。「ネイチャーレース」としてブランド化し、化粧用フェイスマスク、制汗シート、ガーゼ基材など生活関連用途を狙って来年度からサンプル供給を始める。

 まずは年400トンで生産を開始し、現設備で26年には1500トンまで拡大する。不織布以外にフィルムなどの応用製品も検討し、増設で30年に1万5000トンを視野に入れる。

 同社はポリプロピレンやポリエステルのフィルム事業のほか、大垣工場でセルロース100%不織布、セロハンといったセルロース製品を製造する。特にセロハンは国内外で70%とトップシェアを持つ。



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