【外国人スタッフ】なぜ日本に?企業の狙いと態勢は?

2019/05/07 06:28 更新


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【センケンコミュニティー】外国人スタッフさん、こんにちは なぜ日本に来たの? 企業の狙いと受け入れ態勢は?

 グローバル化が進む中、ファッション企業においても、様々な職種で活躍する外国人スタッフが増えてきた。それぞれ、どのような思いで日本で働いているのか。また、文化や言語も異なる中で育ってきたスタッフの能力を最大限に生かすには、企業側の受け入れ体制や意識変革も必要となる中、どんな取り組みをしているのか、双方に聞いた。

ブランドを世界に伝える存在へ

三起商行 カチャルキン・ミハイルさん

日本語が滑らかなミハイルさんは日本人学生へのプレゼンも担当する

 三起商行のカチャルキン・ミハイルさんは入社2年目。人事部採用課で主にファッションアドバイザー(FA)の採用を担当する。合同説明会や学校でのプレゼンテーションや選考に関わる。

 母国ロシアの大学で日本文化を学び、神戸の大学院へ進学した。卒業後、就職フェアで三起商行と出合った。生まれたのは92年。ソ連崩壊直後の社会情勢が不安定な時期で、「子供の頃の写真は少なく、簡素な服を着ていた」(ミハイルさん)という。「子供の幸せを願い、質の高いものづくりをしている点にひかれて」入社を決めた。

 同社は全社売上高におけるインバウンド(訪日外国人)比率が約4割。言語だけでなく、客の国の文化や習慣を熟知したスタッフが関わることで、説得力を持って「ミキハウス」を伝えられると考え採用を続ける。中国のほか東南アジア諸国の留学生をメインにした合同説明会に出展し、昨年からは直接中国に出向く。正社員全体に占める外国人の割合は約1割。

 働く環境では、第一にパーソナリティーを尊重する。日本的な「ここまで言えば分かってくれるだろう」は通用しないと考え、指示は具体的に出す。手順だけでなく、業務の意味合いも伝える。それでも感覚の違いにより、双方が疲弊してしまうことがあった。そこで、2年前にスタートしたのが独自のクロスカルチャーコーディネーター(CCC)研修。年1回実施し、受け入れ側の日本人が文化が違えば物の見方、捉え方が違うことを学ぶ。

 ミハイルさんも文化の違いに直面した経験がある。たとえば仕事のデスク。「他の人から見れば散らかっているように見えても、母国では他人のスペースに対して意見することはありません」。同僚から注意を受け、戸惑ったが、「郷に入っては郷に従え。日本で働くのですから、聞き入れます」。CCC研修で、ミハイルさんのデスクの写真が感覚の違いを示す事例として使われたこともある。双方の溝を埋め、気持ちよく働けるよう整備する。

 外国人スタッフは上昇志向が高いがゆえ、キャリアアップを急ぐ傾向があるという。店頭などで、2、3年じっくりブランドの知識を蓄積して欲しいと考える。ミハイルさんは、「FAのサポートも仕事もひとつ。店舗でお客様や商品に直に接して、現場の問題や悩みをもっと知りたい」と意気込む。

日本流おもてなしを学ぶ

プリモ・ジャパン 鄧喬文(メリッサ・テン)さん

トレーナー担当の郭澤真さん(左)とロープレも行う

 ブライダルリング専門店「アイプリモ」銀座店で販売員として働く鄧喬文(メリッサ・テン)さんは、昨年7月、1年間の研修生として台湾から来日した。アイプリモの台湾店舗で磨いた販売スキルを生かし、訪日客対応を行っている。「インバウンドの方は時間が限られているためか、要望がストレート。スピードも求められ、台湾での接客とも異なりますね」とメリッサさん。

 プリモ・ジャパンは、現在アジア圏に23店を広げる。研修制度は、海外店の有望なスタッフに、原点の日本店舗でそのマインドとスキルを学び、現地に持ち帰って生かす狙いがある。また、役職者へのキャリアパスにつなげる考えもある。導入は17年9月からで、外国人技能実習制度を利用。販売・サービス業で同制度での在留資格が認められたのは、事実上初だ。会社側は「長く研修する上ではベストの選択でした」(小林智美人財開発部マネージャー)とする。

 銀座店では、中国語のできる副店長、郭澤真(カク・タクシン)さんがインストラクター兼通訳として研修生をケアしている。1カ月単位で課題を設定し、フィードバックを行う。もともと高いスキルを持つ研修生が入店し、互いに優れた点を取り入れることで、郭さんはじめ店全体の売り上げが伸びるという相乗効果も出ている。また、店舗だけでなく、人財開発部でもマネジメント関連の教育を実施している。

 暮らしの面でのフォローも行う。同社では、3LDKのマンション「プリモハウス」を国内外3人の研修生でシェアする形で提供している。うち2人は国内地方店からのスタッフだ。海外研修生は、来日時は言葉もできず、文化の違いもあり、戸惑いが大きい。このため、人財開発部の担当者がサポート役となり、密にコミュニケーションを取り、ケアする。メリッサさんも「辛かったのは最初の三カ月。皆さんのおかげで乗り越えられ、本当に感謝しています」と話す。

 メリッサさんが日本で特に感じるのは、きめ細やかなおもてなしの心遣いだ。お渡し用に紙袋をもう一枚入れるか伺う、雨の日は傘にカバーをかけてるなど。「台湾流にアレンジして取り入れられれば。帰国後も、ブランドと共にずっと成長していきたい」と、笑顔が弾ける。

多様性と向上心の源に

マツオインターナショナル 黄立安(コウ・リアン)さん

「物理学と服飾パターンは双方ともロジックが大事」と黄さん

 台湾の大学で物理学を専攻していた黄立安(コウ・リアン)さんは、日本の服飾専門学校を経て、マツオインターナショナルに入社し6年目を迎えた。現在、東京企画部のパタンナーとして「ヴィヴィアン・タム」を担当している。「物理学と服飾パターンは、双方ともロジックが大事。平面を立体的な概念に変換する点でも共通する」と言う。

 そんな黄さんは台湾にいた頃から「日本に対する憧れがあった」と言う。「アイドルや漫画、テレビドラマなど日本の文化が自分の周りに多くあった。自動車や家電製品なども品質がしっかりとしながら、見た目のデザインも美しい」と日本製を評価。なかでも日本のデザイナーブランドについて強い関心を持っていた。日本で就職活動を行った際には「生地からオリジナル企画したアパレル製品に独特の雰囲気が表れていた」とマツオインターナショナルの物作りに興味を持ち、入社を決めた。

 黄さんは同社でパタンナーとして仕事を始めるなかで、日本人の物作りに対する職人気質に触れることになる。

 「襟端のファスナーの位置取りで数ミリ単位の違いにこだわるストイックな姿勢を学んだ」と言う。また、仕事上の人間関係についても「取引先や店舗スタッフへのきめ細やかな気遣いや、サービス精神は台湾の文化にはない点」と、働く環境におけるチームワークの重要性を体感した。黄さんの将来の目標は「物作りの面でブランド全体を統括する仕事をしたい」と意欲的だ。

 マツオインターナショナルはこの4~5年間で外国籍社員を定期採用している。執行役員の谷口直樹人事総務部部長は「日本人の学生と同様の基準で採用活動を行った結果、優秀な人材が外国籍であった」として、現在、本部社員の約5%が中国や台湾、フィリピンなどからの外国籍社員となっている。異なる国の人材採用の効果として職場のダイバーシティー化を挙げる。

 「それぞれのお国柄を反映して個性的な人材が職場に入ることで、異なる個性を尊重する社風を育みつつある」と言う。

 同社は今後、アジア系を中心に積極的な採用を進める考えだ。「経済成長が著しいアジアの若い人材は向上心が強く、仕事に対するガッツを感じる。インドネシアやシンガポール、ベトナムなど幅広い国から人材を集めたい」としている。

外国人エンジニアに熱い視線! メルカリグループも積極採用

 EC市場の伸びなどを背景に、外国人エンジニアにも注目が集まっている。

 フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリグループは、18年10月に新卒入社した社員50人のうち44人が外国籍だった。インド人が32人と最多で、このほかアジアや欧州など世界各地から入社した。

 同社では、プロダクトの強化や新規サービスの開発を担うエンジニア職を中心に、国内の社員約1000人のうち80人が外国籍。19年4月も中国2人、韓国、米国、インド、アイルランド、シンガポールから各1人が新卒で入社した。

 エンジニアに代表されるIT人材は、国内だけでなく世界的に不足し、人材獲得競争が激化している。このため、同社はインドや中国、東南アジアの学生を集め、ハッカソン(プログラムの開発やアイデアを競う催し)の実施や、オンラインでプロモーション活動などの採用活動を世界各地で強化している。

18年10月に入社した新卒50人のうち44人が外国籍社員となった

(繊研新聞本紙19年4月5日付)


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