今年も残すところわずか。1年間のご愛読、まことにありがとうございました。毎号、欠かさずに掲載してきた「FB用語解説」の中から厳選してお送りします。初級・中級・上級の三つのクラスに分けてみました。ファッションビジネス用語の腕試しをお楽しみください。
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◇SPA
自社ブランドを売る専門店
speciality store retailer of private apprelの略で、製造小売業と訳される。もともとは自社ブランドを販売するアパレル専門店のこと。87年米ギャップが自らの業態の説明として発表したのが発端。日本では90年代に入って急速にSPA化が進み、アパレルビジネスの本流となった。
タイプとしてアパレルメーカー発SPA、小売店発SPAがある。ユニクロ、ザラ、H&Mが代表例。近年はアパレル以外でも製造小売りする事業形態をSPAと呼ぶこともある。

◇ウエストポイント
光沢があって丈夫なチノ
米国の陸海軍の制服地を基準にしたチノクロスの一種。通常のチノより細番手で、打ち込みがしっかりしており、光沢感があって、摩擦にも強い。双糸の綿コーマ糸使いで、陸軍規格は、経糸35番手双糸、緯糸25番手双糸、幅40インチ、打ち込み本数108×60本。
米ニューヨーク州ウエストポイントにある陸軍士官学校にちなんでこの名が付けられ、戦後の代表的な輸出織物の一つだった。米国ではユニフォーム・ツイルと呼ばれる。日本では、本来の名称を略してウエポンと呼ぶことも多い。
◇人工皮革
超極細合繊基布にウレタンを含浸
超極細の合繊で作った特殊な不織布などにポリウレタン樹脂を含ませ、天然皮革のような高収縮、微多孔性の構造体にしたもの。一般的な織・編物、不織布にコーティングした合成皮革(合皮)とは区別している。
これに使う超極細糸は、0.1デシテックスクラスのポリエステルやナイロン、アクリル。表面が滑らかな銀面調と、起毛したスエード調がある。衣料、靴、インテリア、かばん、カーシートなど幅広い用途で使用されている。有機溶剤を使わない環境に優しい製法も開発され、天然皮革からの置き換えがさらに進みそうだ。
◇パネル柄
一枚の絵のような柄
panel pattern、panel print。四角い枠を基本形に、その中や周囲に模様を連続させた柄のこと。スカーフ柄やパネル(羽目板)プリントということもある。スカーフのように絵の回りに四角の枠があるものはわかりやすいが、枠のないタイプも。服に仕立てたとき、単純に連続させた柄とは違う独特の柄の出方が楽しめる。
18年春夏のデザイナーコレクションにスクエアに切った布使いがどっと登場したこともあり、レディス市場に広がった。19年春夏はドレスやブラウス、パンツなどでさらに多くのブランドが取り入れている。

◇端境期
シーズンのはざま
「はざかいき」と読む。夏物と秋物の間や、冬物と春物の間といったシーズンの合間の時期を指す。天候的にも中途半端な時期なので、商品を売る側、買う側ともに判断が難しい。晩夏初秋の対応では9月に入っても暑さが長く続くため、通常の秋物では店頭の動きが鈍い。秋のトレンドを取り入れながらも、夏用のような薄手素材の〝秋色・夏素材〟の商品を投入する。
逆に、冬のセールが終わるころはまだ寒く、春物を販売するには少し早いため、防寒の厚手素材で春を感じさせる明るい色を加えた商品を揃え、購買を促す。
◇ICタグ
物流作業を効率化する先端技術
ICチップと小型のアンテナを組み合わせたもので、商品に付ける下げ札、シールなどに組み込んで使用する。RFID(radio frequency identification)と同じ意味。ICチップには商品情報などが書き込まれていて、専用の機器を近づけると情報を読み取れる。バーコードと違い、電波を飛ばすので少し離れた距離からでも読み取れる。
そのため、専用機器を持って倉庫や店舗内を歩くだけで棚卸しが完了したり、カゴや箱に入った複数の商品を一瞬で読み取り、レジでの精算や入出荷作業を効率化できる。アパレル業界でも採用企業が増えている。
◇クロップト
途中で短く切り落とす
クロップトのクロップ(crop)は短く刈り込む、切り落とすの意味。ファッションアイテムでは、本来の丈でなく中途半端なところでカットした丈を指す。その点では、ショート丈やハーフ丈とは異なる。クロップトパンツやクロップトトップのアイテム名は頻繁に登場する。
最近ではレディスでワイドクロップトパンツがヒットし、テーパードのクロップトパンツは定番的に長く愛されている。メンズでは近年、九分ぐらいのアンクル(くるぶし)丈が流行しているが、八分、七分丈のクロップトも当たり前になった。

◇貴石
希少性があり硬度の高い天然石
宝石のうち希少性があり、硬度が高く、美しい天然石。5大宝石(ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド、アレキサンドライト)が代表例。高級ジュエリーに使われることが多い。ガーネット、トパーズ、キャッツアイ、ペリドットなども貴石とされる。
一般的に貴石より硬度の低いものは半貴石と呼ばれ、水晶、シトリン、アメシスト、ターコイズ、タンザナイトなどがある。比較的価格の低いアクセサリーに使われることが多い。

(みんなビックリ、半端ないって編へつづく)